【月間表彰】川崎F・三笘薫の超絶70mドリブルを選出 闘莉王が「ネイマールのよう」と絶賛する理由
急成長を後押しする川崎の高い“完成度”「ちょっとした技術だけでは生きられない」
川崎の下部組織で育ち、筑波大へ進学。今季から大卒ルーキーとして“古巣”に戻ってきた。競争の激しい川崎で文句なしの結果を残し、主力の1人として輝きを放っている。各年代別代表にも選出され、アジア大会やトゥーロン国際大会などに出場。今季のベストヤングプレーヤー賞の最有力候補とされ、将来の日本代表入りも期待される。現役時代には様々なクラブで経験を積んだ闘将は、三笘の好調の裏に川崎の“完成度”があると分析する。
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「長年Jリーグでやってきて最も難しいのは世代交代と感じている。どのタイミングで世代交代するのか、どのタイミングでベテランを切って若い選手を育てるのか。いろんな失敗を見てきた。今、最もいい例は、鹿島(アントラーズ)もそうですが、フロンターレ。調子がいいときに若手を入れてベテランの技、勝負強さを盗んで、活躍していく。勝ち癖を身につけるからこそいい育ち方をする。あとは、やっぱりレベルの高い川崎にいるということで、自分を磨かなければいけない。ちょっとした技術だけでは生きられない。いろんなところをレベルアップさせ、足りていないところを工夫して上達させる。FWやっていても20点ぐらい取れそう」
さらに、闘莉王氏は三笘の強みをルーキーでは珍しい“自己把握能力”の高さだと指摘。強豪・筑波大での経験が「間違いなくプラスになっている」とし、「自分のプレーを自分自身で把握して、どういう勝負に持って行ったら有利になるか分かっている」と、クレバーなスタイルを称賛した。その勢いは、ある“スター選手”に似通っているという。
「どっちかというとサイドで勝負するタイプ。世界で言えばネイマールのような。外に張って中に入ってくる、両足使える、外もいける、中も使える、スピードもある、突っかかってくるDFをかわすのも上手だし、DFが構えて待つという状況でも自分から仕掛けてドリブルもできる。ただのドリブラーじゃなくてゴールが上手く決められる。ゴール前の落ち着きはそこらへんの選手、若手とは違う」
来年には2022年カタール・ワールドカップ予選が再開。森保ジャパンに三笘が食い込んでくるのかが一つの注目となる。長らく日本代表の最終ラインを支えてきた闘莉王氏は、23歳の新星について「なかなかいない珍しいタイプの選手で、得点力もある。こういう選手は代表に必要だと思う」と太鼓判を押した。生きのいい若手の活躍に、闘将も納得だったようだ。
■田中マルクス闘莉王
1981年4月24日生まれ、ブラジル出身。渋谷教育学園幕張高を卒業後、2001年にJ1広島でプロデビュー。06年に浦和のリーグ初優勝に貢献し、同年のJリーグMVPに輝く。07年にACL優勝、名古屋移籍後の10年に自身2度目のJ1制覇。03年の日本国籍取得後は日本代表としても活躍し、04年アテネ五輪、10年南アフリカW杯に出場。日本代表43試合8得点の成績を残した。19年12月にJ2京都で現役引退。現在はブラジルで実業家として活動する傍ら、公式YouTubeチャンネル「闘莉王TV」も話題に。
(小杉 舞 / Mai Kosugi)