日本卓球は福原愛がいたからメジャーになり強くなった 平野早矢香が感じた“スターの存在感”
2021年の東京五輪でもメダル獲得が期待される卓球。近年、“最強中国”を追う存在として、世界の頂点を狙えるまで力をつけてきた。日本卓球はなぜ強くなったのか――。「THE ANSWER」では、長きに渡って日本のトップでプレー、2012年ロンドン五輪女子団体では男女通じて初の表彰台となる銀メダル獲得に貢献した平野早矢香さんに聞いた。
ロンドン五輪の銀メダリストが分析する卓球界の進化
2021年の東京五輪でもメダル獲得が期待される卓球。近年、“最強中国”を追う存在として、世界の頂点を狙えるまで力をつけてきた。日本卓球はなぜ強くなったのか――。「THE ANSWER」では、長きに渡って日本のトップでプレー、2012年ロンドン五輪女子団体では男女通じて初の表彰台となる銀メダル獲得に貢献した平野早矢香さんに聞いた。
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私の小さい頃は、日本が卓球大国と言われていた時代がありましたが、私が5歳で競技を始めた頃は世界的にはメダルは難しくなっていました。私が16歳で日本代表になってから少しずつ世界との距離が縮まり、世界選手権でも再びメダルを獲れるようになった。大きな変化を感じていますが、ここまで卓球という競技の注目度が上がり、メジャー化してきた過程においては2つのポイントがあると思っています。
1つは福原愛ちゃんというスターがいたこと。当時は卓球に興味がない人でも、あれだけ小さい子どもが一生懸命卓球をしているということは知っていました。愛ちゃんを見たくて卓球を見るようになった方も多いと思います。みんな卓球選手は知らないけど愛ちゃんの事だけは知っているという時代でした。そこから卓球という競技がメディアでも取り上げられるようになって、愛ちゃんが卓球界を背負っていたというのは間違いないです。そういう意味では私なんかとは比べ物にならないくらいのプレッシャーがあったと思います。
それともう1つ。愛ちゃんで注目が集まっている中で、日本卓球の実績もついてきました。注目と実績、どちらかだけだとメジャー化するのは難しいものがあるのかなと。誰がやっている、こんな選手がいますよ、というのが認知されないと、メディアに取り上げてもらえないことがある。2008年の北京五輪の時に、ある競技の選手が世界選手権で優勝していて、五輪でメダルのチャンスがあるにもかかわらず私は全く知らない。そんな選手がいました。そういう意味でも愛ちゃんの存在は卓球界にとって大きかったです。
やっぱりアマチュアと言われているスポーツは五輪でメダルを獲るために戦っているところもあります。卓球界では2012年のロンドン五輪で女子が銀メダルを獲って、次のリオ五輪では女子だけでなくて、男女でメダルを獲り、水谷(隼)選手はシングルスでも銅メダルを獲りました。
ロンドンではあのみんなが小さい頃から知っている愛ちゃんが、小学生の頃に“愛ちゃん二世”と言われていた石川佳純選手と、私と、一緒にメダルを獲ったというストーリーが出来ました。ただの話題性だけでなく、メダルという実績という部分でも取り上げてもらえた。じゃあ次のリオ五輪はどうなんだろうというところで、女子とはまた違う、ダイナミックで迫力のある男子の魅力もクローズアップされるようになりました。