【One Rugbyの絆】15人制でも7人制でもない「10人制ラグビー」とは… 「一番いいバランスを持つ」
東南アジアが発祥の競技、今夏に日本初の全国大会を予定するも…
4年前から大阪で有志を募り、ベトナムで開催されるサイゴンテンズに参加。今では関東や九州からも参加者が集まり、毎年ベトナムへ向かうのが恒例行事となった。テンズ発祥の地・マレーシアを中心に、東南アジア各国では毎月どこかでテンズの大会が開催され、現地に駐在する日本人ラグビーチームが参加したり、日本から参加するチームもあるという。大会のレベルは様々で、日本人は体格差を感じる場面もあるとはいうが、それでも世界は「まだまだ手の届くところ」というのが、井上さんの率直な感想だ。
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一方、世界的に名高いマレーシアのコブラテンズには、欧州や南半球など世界各地の予選を勝ち抜いた16チームが集結。オーストラリアで開催されるブリスベンテンズには、スーパーラグビー所属選手や日本からパナソニックワイルドナイツの面々が参加するなど、ハイレベルの戦いが展開される。
日本では、テンズを専門にプレーしている選手は少なく、15人制や他のラグビーと掛け持つケースが多い。部員数の少ない高校や大学のラグビー部や、各地方で有志が集まってプレーしているのが現状で、これまでテンズを統轄する団体や協会はなかった。そこで日本でも競技者が目標とできる大会を作ろうと、井上さんが音頭を取り、仲間とともに昨年協会を設立した。
今年の夏に沖縄・名護で約20チームを集め、初めての全国大会を開催する予定だったが、残念ながら昨今のコロナ禍により白紙となってしまった。
だが、テンズが持つ競技としての可能性は消えることはない。井上さんは協会を立ち上げることで、日本国内での目標、海外とのコネクション、そして若い世代への選択肢を提供したいと考えている。
「海外の大会はフェスティバルみたいに、音楽を流してワイワイしながら試合をするし観ているし、という形が多いんです。日本でそれをやりたいなと。自分たちが遊ぶための場所を作ろうというのが大前提にはありますし、まずはラグビーの楽しさを見てほしいなと(笑)。その『楽しい』をきっかけに多くの人がラグビーに興味を持って、テンズから15人制だったりビーチだったりに行ってもいいと思います。
また、全国大会を作ることで、部員が減ってテンズをプレーする学生さんが目指す場所であったり、海外の大会出場にも繋がる場所にしたいと思っています」