【今、伝えたいこと】グランプリ通算7勝 稀代の勝負師、池添謙一40歳の誓い「夢で終わるわけにはいかない」
新型コロナウイルス感染拡大により、スポーツ界はいまだかつてない困難に直面している。公式戦がスタートしたごく一部を除き、ほとんどの競技では試合、大会などのイベントが軒並み延期、中止が続いている。ファンは“ライブスポーツ”を楽しむことができず、アスリートは自らを最も表現できる場所を失った。
連載「Voice――今、伝えたいこと」最終回、三冠ジョッキーからのメッセージ
新型コロナウイルス感染拡大により、スポーツ界はいまだかつてない困難に直面している。公式戦がスタートしたごく一部を除き、ほとんどの競技では試合、大会などのイベントが軒並み延期、中止が続いている。ファンは“ライブスポーツ”を楽しむことができず、アスリートは自らを最も表現できる場所を失った。
日本全体が苦境に立たされる今、スポーツ界に生きる者は何を思い、現実とどう向き合っているのか。「THE ANSWER」は新連載「Voice――今、伝えたいこと」を始動。各競技の現役選手、OB、指導者らが競技を代表し、それぞれの立場から今、世の中に伝えたい“声”を届ける。
最終回は競馬の三冠ジョッキー、池添謙一が登場。28日のG1宝塚記念(阪神・芝2200メートル)ではモズベッロ(牡4、栗東・森田)に騎乗する。大舞台で圧倒的な強さを発揮する稀代の勝負師は、再び大歓声の中でゴール板を駆け抜ける日を夢見ている。
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池添が、最も得意とする舞台が今年もやってきた。
ファン投票によって出走馬が決まるグランプリレースは年に2度行われる。初夏の宝塚記念と年末の有馬記念だが、池添は過去に宝塚記念を3勝、有馬記念を4勝。グランプリ通算7勝は史上最多で、“グランプリ男”の異名をとる。
自身は「自覚はあります。(グランプリ男と)色々なところから言われるので、勝手に耳に入ってくる。宝塚と有馬で、7つも勝たせてもらっています。それもいい馬に乗せてもらっている中でのいい成績。どのレースでも、どのG1でも同じ気持ちで臨んでいます。グランプリだからと言って特別何か、ということはありません」と言うが、競馬ファンなら、ここ一番での池添の乾坤一擲の騎乗は誰もが知るところだ。
「勝負強いともよく言われるんですけど、自分ではわかりませんよね。周りから言われることは、悪い気はしません。あまり意識はしていないので、それがかえっていい方に出ているのかもしれませんね」
今年はモズベッロとともにグランプリに挑む。急成長を遂げる4歳馬。年明けの日経新春杯で重賞初制覇。続く日経賞でも2着に入り、天皇賞(春)には5番人気で出走。3200メートルの距離が合わず7着に終わったが、古馬のトップクラスと渡り合える力をつけてきた。
下馬評ではダークホースの域は出ないが、池添は「成長力がある馬。前走は初G1でしたし、距離が少し長かった。その点今回の2200は得意な距離になる。人気にはなりませんが、楽しみにしています」とワクワクを隠さない。何と言っても、7日の安田記念ではグランアレグリアの手綱を取って、断然人気のアーモンドアイを撃破。今夏主戦場にする函館から駆け付ける大一番では、虎視眈々と金星を狙っている。