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【#キミとONETEAM】「僕らの強みは頭を使うこと。まさに今、問われている」―慶大ラグビー部主将・相部開哉

個々の能力では劣る、僕らの強みは「頭を使うこと」

 特に、今まで練習続きで忙しくてできなかったラグビーの知識を深めるトレーニングをしようと、ミーティングも多くやっています。トップレベルの試合を見て「このプレーはどういう意図があるのか」とお題を出し、議論をしてみたり。僕は寮に入っていますが、自宅生とは接する機会が少なく、モチベーションの差が生まれやすいので、頻繁に連絡を取ったり。工夫はしています。

 慶應は他の強豪校に比べ、推薦枠で優秀な選手を獲れる人数が少なく、個々の能力では劣ります。しかし、僕らの強みは「頭を使うこと」。そこで差をつけていかないと、試合では勝てません。頭を使いながら、どれだけハードに、愚直に、ひたむきに、追い込めるか。まさに今は頭を使い、限られた環境でどう過ごすかが問われている期間と思い、日々考えながら過ごしています。

 僕がラグビーを始めたのは小1の時でした。ラグビーが好きだった父に地元の神奈川・平塚のラグビースクールに連れていってもらい、最初は土日に友達に会いに行くのが楽しくて、ハマりました。最初はみんなとプレーすることが、ただ楽しかった。でも、小3の時に初めて県大会で試合をして、グループリーグで優勝した時、みんなでやって勝つのはすごく楽しいと気づいたんです。

 ラグビーの面白さは15人全員でプレーするところ。もともとサッカーもしていたのですが、僕はディフェンダーをやっていて、小学生レベルでは守備の選手は得点に絡めない。でも、ラグビーは小学生ながらに守る時はみんなで守って、攻める時はみんなで攻めて、というのが魅力でした。痛い、苦しいこともあるけど、勝った時の達成感が上回る。だから、大学まで続けてきました。

 皆さんは大学ラグビーを見たこと、ありますか? 今はトップリーグがすごく人気ですが、大学ラグビーもとても人気があります。その面白さは各校が、自分たちのカラーをぶつけ合っているところ。例えば、慶應は121年の歴史があり、僕ら4年生は121代に当たります。その121年で培われた伝統がグラウンドに出ている。具体的に言うと、タックルの強さは慶應に代々伝わる強さです。

 負けられないライバルもいます。やはり、早稲田は慶應にとって、そういう存在。「早慶戦」は一番、観客が入ります。関東大学対抗のリーグ戦の一つとして行われるので「意識しないように」と毎年、選手同士で言い合いますが、どうしても気持ちが入ります。2年生で初めて出た時はあまりの観客の多さにとても緊張しました。こういうところにも大学ラグビーの魅力はあります。

 そういう中で昨年のW杯はすごく影響を受けました。寮で仲間たちと見ていて感動し、日本を誇りに思ったし、リーチ・マイケル選手のプレーと統率力は勉強になりました。大学ラグビーもこんな風に夢を与えられるだろうかと考え、僕らみたいに決して能力の高くない学校が強い学校をどんどん倒していけば、見ている人も楽しい。夢や感動を与えられるかも……と刺激を受けました。

 僕は大学で選手を辞める予定です。社会人チームからも声をかけて頂きましたが、自分の実力を冷静に見極め、また一般企業で働く先輩の話を聞き、ビジネスの世界も魅力的に感じ、決断しました。現在は就職活動も並行して行っています。将来は海外で仕事をしたい、いろんなジャンルの人と仕事をしてみたい思いがあり、そういったことができる仕事に携わりたいと考えています。

 選手でなくともラグビーから学んだ経験は社会に生きると思います。ラグビーは究極のチームスポーツ。自分が少しでもサボれば、チームの誰かが苦しくなる。チームの全員が誰かのために少しでも頑張れば楽になる。チームを思える自己犠牲の思いは組織の中で生きる。体力的、精神的に厳しい競技で忍耐力が鍛えられ、痛みを分かることは人への気遣いにつながると思っています。

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