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いじめ、学業からたばこ問題まで… 生徒も保護者もサインする「米国の部活の誓約書」

「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回のテーマは「部活動の誓約書」。

米国では部活参加において規則があり、生徒と保護者は誓約書にサインをし提出する(写真はイメージです)
米国では部活参加において規則があり、生徒と保護者は誓約書にサインをし提出する(写真はイメージです)

連載「Sports From USA」―米国の部活は「生徒も誓約書、保護者にも誓約書!」

「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回のテーマは「部活動の誓約書」。

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 米国人は前もってルールを決めておき、始まる前にそれを参加者全員に告知する。もしも、問題が起こったときには、そのルールを参照しながら対応をする。そのようなイメージを私は持っている。

 ユーススポーツや学校運動部でも同様で、前もって規則を決めている。それだけでなく、規則違反があったときには、どのくらいのペナルティを科すのか、誰が裁定するのかもセットにして決めておき、明らかにしているところが多いようだ。

 学校運動部の場合は、各学校が運動部ハンドブック、運動部保護者ハンドブックといったものを作っている。冊子が配られることもあれば、オンライン上のPDFファイルを見るように指示されることもある。学校によって、数ページから数十ページとさまざまだが、ハンドブックには運動部運営規則などが書かれている。

 生徒向けには、主に次のような規則が定められている。ここに挙げたのは例であって、何に対してどのような罰を科すのか、出場停止期間などは、学校によって違う。

・施設、用具を適切に扱う。
・審判、対戦相手校に敬意を払う。
・特別な理由がない限り、練習には全て参加する。無断で欠席しない。
・学校の成績評価値GPAが●.●(例えば2.5)を下回った場合には、一定期間運動部に参加できない。もしくは単位取得数が足りない場合は一定期間参加できない。
・いじめをした場合にはシーズンの半分の期間活動停止。2度目は1年間活動停止、3度目は運動部活動追放。
・喫煙、飲酒をした場合にはシーズンの半分の活動停止、2度目は1年間活動停止、3度目は運動部から追放。
・病気や体調不良などの理由で学校を欠席した場合には、その日の運動部活動には参加できない。

 運動部に参加する生徒はこういった規則があることを理解し、これに従いますと誓約書にサインをして提出する。

 ここからが米国の本領発揮というべきか、活動停止、出場停止処分を科されたときでも、生徒側に異議申し立てをする権利を与えている。ハンドブックには異議申し立ての手順についても書かれている。例えば、このような形。生徒は、処分が発表されてから決められた期間内に、学校運動部の管理者であるアスレチックディレクターに異議申し立てとその理由を書面で提出する。学校長、アスレチックディレクター、運動部のコーチらが生徒側の弁明を聞いたうえで、最終判断を下す。

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谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

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