ラグビー元日本代表×世界的アーティスト 異色コラボ「ラグビーボール日常化計画」とは
日本中を熱狂に包んだラグビーワールドカップ(W杯)2019日本大会。日本代表は史上初となる8強入りを果たし、流行語大賞にはチームスローガン「ONE TEAM」が選ばれるなど、ラグビーブームが巻き起こっている。この熱を“にわか”で終わらせたくない。2019年に生まれたラグビー熱を、次世代にしっかりと繋いでいきたい。そう願うのが「ブリングアップ(BU)ラグビーアカデミー」を主宰するラグビー元日本代表の箕内拓郎氏、小野澤宏時氏、菊谷崇氏という3人の猛者たちだ。
BUラグビーアカデミーの菊谷崇氏と墨絵アーティストの茂本ヒデキチ氏が熱く語る
日本中を熱狂に包んだラグビーワールドカップ(W杯)2019日本大会。日本代表は史上初となる8強入りを果たし、流行語大賞にはチームスローガン「ONE TEAM」が選ばれるなど、ラグビーブームが巻き起こっている。この熱を“にわか”で終わらせたくない。2019年に生まれたラグビー熱を、次世代にしっかりと繋いでいきたい。そう願うのが「ブリングアップ(BU)ラグビーアカデミー」を主宰するラグビー元日本代表の箕内拓郎氏、小野澤宏時氏、菊谷崇氏という3人の猛者たちだ。
【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら
日本代表キャップ総数197というラグビー界のレジェンドたちが目指すのは、ラグビーというチームスポーツを通じて子どもたちが人間として成長すること。一度きりの人生で最高な決断ができる人間を育てようという理念の下に、ラグビーの素晴らしさも伝えようという3人は、アカデミーの他にも地域の学校を訪問してラグビーの魅力を伝えるなど、地道な活動を続けている。
この活動に強力なサポーターが現れた。世界的に名高い墨絵アーティストの茂本ヒデキチ氏だ。BUラグビーアカデミーの活動に賛同した茂本氏が、躍動感あふれるBUオリジナルデザインを描き下ろし、ともにTシャツ、タオルなどのコラボレーショングッズを制作。グッズの収益を寄付することにした。BUラグビーアカデミーでは寄付金を基にオリジナルのラグビーボールを作り、3人がラグビー教室で訪問する学校にラグビーボールを寄贈する「ラグビーボール日常化計画」を実施。1人でも多くの子どもたちがラグビーボールに触れる機会を増やすことになった。
芸術とスポーツという異色のコラボから始まるラグビー普及プロジェクトについて、菊谷氏と茂本氏が熱く語る対談が実現。アーティストの目に映るラグビーの魅力、芸術とスポーツの共通点など興味深い話題が続いた。
◇ ◇ ◇
―菊谷さん、最初にイラストをご覧になった時の感想を教えてください。
菊谷「正直、墨絵がデザインされた服を着ることが今までにない感覚だったので、すごく新鮮でカッコよかったですね。そして、ワールドカップもありましたが、ラグビーにフォーカスしてくださったことに、新鮮さとうれしさがありました」
―茂本さんはどんな経緯でスポーツを題材とするようになったのですか?
茂本「墨絵というと、パッと浮かぶイメージは山水画だったり静のイメージが大きいと思うんです。僕自身『どうして動のイメージを描かないんだろう』と漠然と考えていました。もともと僕はイラストを描いていたんですが、墨絵を学び始めた時に『若い人たちが見てグッと引き込まれるような絵があってもいいんじゃないか』と思って、指南書を読まずに自分で自由に描き始めてしまったんです(笑)。
音楽が好きなのでブラックミュージックを中心に描いていたんですが、黒人の筋骨隆々とした姿を描くことがすごく面白くなって、体の仕組みまで勉強しました。描いた墨絵を掛け軸にしたりしながら、見せることに少しずつ自信がついて、これは一つのスタイルになるんじゃないかと。そんな時、まず声を掛けてくれたのが久保田利伸さん。音楽の方でいろいろ描いていると、スポーツ界の方も注目してくれて、だんだんアスリートを描くようになりました」
―羽田空港国内線ターミナルのボーディングブリッジ壁面にある東京2020オリジナル墨絵も手掛けられました。
茂本「オリンピック28競技、パラリンピック22競技を全種類、およそ3か月かけて描きました。その時、資料としていろいろなスポーツの写真を見ていたら、それだけでもスポーツって感動するんですよね。作業を進めるうちに、もしかしたらスポーツを描くのが使命かもしれない、と思うほど面白くなって。もっとスポーツに特化して墨絵を描きたいと思っていた時、日本でワールドカップが開催されるということでラグビーを描く機会が増えました。
2018年に調布駅前で日本対ジョージアのライブビューイングをした時、そこでライブペイントとしてラグビーを描いてほしい、とお話をいただいたんです。この時は元日本代表の斉藤祐也さんがゲストでいらして、一緒に見てもらいながら描きました。そのイベントを見た調布市文化会館たづくりの方が、建物の壁面をアートで埋める企画を毎年やっているので、ラグビーの激しさや力強さが伝わる墨絵を描いてほしい、と声を掛けてくれたんです(2019年8月24日から11月24日まで展示)」