「人生を変える」五輪へ 空手の絶対女王・植草歩が敗戦で取り戻した“無冠の輝き”
全てを律する日々「どん欲にやっていきたい」
五輪は61キロ超級となる植草は、現在のWKF五輪ランクは3位(5250ポイント)で日本勢トップだ。2番手で10位の染谷香予(テアトルアカデミー)に1357.5ポイント差をつけている。今大会で内定者が決まらなければ、2月28日~3月1日のザルツブルク大会で1000ポイント以上の差をつけた場合、または4月のランク上位者が代表入りする。五輪に向けて十分な準備期間を確保するためには可能な限り早めに代表入りを決めたいところだ。
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2019年は苦労した。7月のアジア選手権は初戦の2回戦で敗退。9月のPL東京大会を制したが、スペイン大会、全日本選手権と優勝を逃した。勝ち続ける難しさを実感した一年。連覇を目指した2018年世界選手権の銀メダル以降、決めていることがある。「小事は大事」だ。小さな事もいいかげんにすると大きな事に繋がる。だから何事も疎かにしてはいけない。
「全てを律しようと思っています。世界選手権で負けた時から思っていたのは、自分のしたことは全て自分に返ってくるということ。小さなことにも目を配る。遅刻しないとか、当たり前のことです。
そのためにオンオフをもっとはっきりさせて。試合に行く前はもう空手をやりたくないと思うくらい、きちんと練習で追い込む。試合に勝っても負けても、その後はしっかりとオフを作る。それでまた次に向かっていく。1年で性格面で改めて自分を知ったシーズンだった」
空手が東京五輪の新種目に決まり、人生が変わった。「自分の集大成を懸けに行く場。人生を変えてくれたのがオリンピックなので、また自分の人生を変えられるぐらい空手に懸けて、どん欲にやっていきたい」。前年はつまずいたが、つまずきは再出発のきっかけにすぎない。運命の日は8月8日。196日後、再び人生を変える瞬間が訪れる。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)