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「人生を変える」五輪へ 空手の絶対女王・植草歩が敗戦で取り戻した“無冠の輝き”

空手が東京五輪の新種目として実施される。女子組手68キロ超級で2016年世界選手権女王の植草歩(JAL)は、7か月後の夢舞台で金メダル獲得を目指している。24日には、今季初戦のプレミアリーグ(PL)パリ大会が開幕。大会後の世界連盟(WKF)五輪ランクで、日本勢最上位者が2番手に2000ポイント以上の差をつければ代表に内定する。現在、日本勢トップの植草は大会連覇を目指し、「人生を変える」と位置づけた東京五輪への思いを語った。

東京五輪の空手で金メダル獲得を目指す植草歩【写真:浜田洋平】
東京五輪の空手で金メダル獲得を目指す植草歩【写真:浜田洋平】

東京五輪金メダルへ、16年世界選手権女王の植草歩が敗北で気づいた挑戦心の大切さ

 空手が東京五輪の新種目として実施される。女子組手68キロ超級で2016年世界選手権女王の植草歩(JAL)は、7か月後の夢舞台で金メダル獲得を目指している。24日には、今季初戦のプレミアリーグ(PL)パリ大会が開幕。大会後の世界連盟(WKF)五輪ランクで、日本勢最上位者が2番手に2000ポイント以上の差をつければ代表に内定する。現在、日本勢トップの植草は大会連覇を目指し、「人生を変える」と位置づけた東京五輪への思いを語った。

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「絶対に優勝すると決めています。去年も優勝すると決めて、みんなが遊んでいる時期に頑張った。きちんと獲れたので、今年も同じやり方でやっていこうと思っています」

 植草には気合がみなぎっている。ずっと目指してきた東京五輪。半年後に迫る大舞台で世界一に返り咲くため、目の前の試合に全力をぶつけるつもりだ。

 昨年は“つまずき”があった。12月の全日本選手権個人戦は5連覇を逃し、銀メダルに終わった。体重無差別で行われる日本一決定戦。決勝で23歳の齊藤綾夏(AGP)に4-6でまさかの敗北を喫し、大粒の涙を流した。大会後に一緒に時間を過ごしたのは、帝京大時代の同期。「大学の時のことを思い出しました。みんなで盛り上がって、なんだか懐かしい気持ちになりました」。苦楽をともにした仲間との時間が植草に大切な気づきを与えた。

「あの時の気持ちって大事だなと思いました。初優勝した時の顔と今の顔が違う。優勝を目指していた時の気持ちと今の気持ち。(大学時代は)空手が楽しくてキラキラしていた。今はそれが足りない。勝たなきゃいけないという気持ちに傾いてしまっている。試合の場とか空手自体、今は楽しめていなかった。改めてそういう気持ちって大切。昔の自分を見て、昔の仲間と会って思いました」

 23歳だった2015年に初優勝。無冠ながら輝きを放ち、挑戦者として日本一を掴み取った。以降、女子組手単独最多の4連覇を達成。しかし、空手界の歴史に名を刻んだ裏で「絶対女王」の冠を授かり、知らず知らずのうちに王座を守る意識を持っていた。最近、目を通したのはメディアに取り上げられた当時の特集と今の姿。ハッとさせられたのは、女王として戦う自分の表情だった。

「(今の表情は)険しかった。2019年は全て険しい試合。楽しむという気持ちでやっているつもりでも、ポイントを獲って笑っていても。あの時(大学時代)とは雰囲気が違う。当時は生き生きしていた。あの時は挑戦者という気持ちだったけど、今はチャンピオンの立場。違いが本当に大きいですね。やっぱり挑戦者という気持ちは忘れてはいけないと感じました。

 普段はチャンピオンとして振る舞って、チャンピオンとして相応しい行動をすることが大切。だけど、練習や試合は常に挑戦する気持ちを忘れてはいけないと感じた」

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