日本には「失敗しづらい環境がある」 仏名門ラグビーコーチの“気づき”と子どもたちに眠る伸びしろ
この夏、日本のラグビー界では初という画期的な取り組みが実現した。リーグワンに参戦する静岡ブルーレヴズが、フランスの強豪スタッド・トゥールーザン(以下トゥールーズ)から3人のコーチを招き、日本の子どもたちを指導してもらったのだ。開催に尽力した海外事業担当の正本豊さんに、世界有数のビッグクラブと交流する“狙い”を聞いた。
静岡ブルーレヴズ、世界のトップから学ぶ第一歩
この夏、日本のラグビー界では初という画期的な取り組みが実現した。リーグワンに参戦する静岡ブルーレヴズが、フランスの強豪スタッド・トゥールーザン(以下トゥールーズ)から3人のコーチを招き、日本の子どもたちを指導してもらったのだ。開催に尽力した海外事業担当の正本豊さんに、世界有数のビッグクラブと交流する“狙い”を聞いた。
サッカ ーでは、欧州の有名クラブが日本で子ども向けのアカデミーを運営している例もある。ただラグビーでは、欧州クラブの指導が日本で提供された例はこれまでほとんどなかった。トゥールーズは直近の2023-24シーズン、フランスのトップリーグ「TOP14」で23度目の優勝を果たし、欧州チャンピオンズカップも制した同国を代表する強豪クラブだ。
正本さんはトゥールーズを「世界一のプロクラブとも言えます」と紹介する。「売上規模もそうですし、実力もクラブとしての成熟度もそう。ただ欧州では有名ですが、日本ではあまり知られていません。こちらも『いいものはいい』と伝えたい」。子どもたちへの指導は、名門クラブとアジアとの橋渡しをしようとする取り組みの第一歩だ。
トゥールーズは昨秋、地元開催のワールドカップで8強入りしたフランス代表に、主将のSHアントワーヌ・デュポンらを送り込んだ。デュポンはこの夏、パリ五輪で金メダルを獲得した7人制のフランス代表でも主力だった。そんなスーパースターも所属する強豪はすでに欧州をはじめ、アフリカや中東で少年少女を対象としたアカデミーを開催し、市場の拡大を図っているのだという。
一方でブルーレヴズの前身は、実業団チームのヤマハ発動機。この冬4季目を迎えるリーグワンでは、チームの運営会社を法人化したチームとそうでないチームが混在している。その中でブルーレヴズはいち早く運営組織を株式会社化した。トゥールーズをお手本にしようと、ヤマハ発動機時代からあったパートナーシップを2021年にプロクラブ同士のものに結びなおした。
「我々はラグビーで売り上げを立てて、ご飯を食べていくという選択をしたわけです。そちらに進んでいくしかない。そのためにスポンサー開拓やアカデミー運営もしている」という中で、トゥールーズのクラブ運営には学ぶところも多いという。