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子どもたちは「気づけば答えを出している」 ラグビー強国・フランスのコーチが日本で見せた“真逆”の指導

この夏、日本のラグビー界では初という画期的な試みが形となった。リーグワンのクラブが欧州の強豪から育成年代の指導者を招き、日本の子どもたちを指導してもらおうというのだ。主催した静岡ブルーレヴズは、提携関係にあるフランスの強豪、スタッド・トゥールーザン(以下トゥールーズ)から何を学んだのか。指導に参加したアカデミーコーチの藤井達也さんに、日本との違いを中心に聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部 羽鳥慶太)

来日したトゥールーズのコーチは、日本とはひと味違った指導法を見せてくれた【写真提供:静岡ブルーレヴズ】
来日したトゥールーズのコーチは、日本とはひと味違った指導法を見せてくれた【写真提供:静岡ブルーレヴズ】

リーグワンの静岡ブルーレヴズが行った画期的な取り組み

 この夏、日本のラグビー界では初という画期的な試みが形となった。リーグワンのクラブが欧州の強豪から育成年代の指導者を招き、日本の子どもたちを指導してもらおうというのだ。主催した静岡ブルーレヴズは、提携関係にあるフランスの強豪、スタッド・トゥールーザン(以下トゥールーズ)から何を学んだのか。指導に参加したアカデミーコーチの藤井達也さんに、日本との違いを中心に聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部 羽鳥慶太)

 トゥールーズは直近の2023-24シーズン、フランスのトップリーグ「TOP14」で23度目の優勝を果たし、欧州チャンピオンズカップも制した同国を代表する強豪だ。昨秋、地元開催のワールドカップで8強入りしたフランス代表にも、主将のSHアントワーヌ・デュポンらを送り込んでいる。デュポンはこの夏、パリ五輪で金メダルを獲得した7人制のフランス代表でも主力だった。

 その名門チームから、元フランス代表を含む3人のコーチを招いてのキャンプは、8月20日から2泊3日の日程で行われた。午前、午後にそれぞれ1時間半ほど、計5度のトレーニングを経て、最後はミニゲームを行うというところまで、36人の小中学生がボールを追った。普段はブルーレヴズで中学生チームの監督を務める藤井さんが見ると、練習の時間設定から違ったという。

「ウォーミングアップの後、ボールを使ってハンドリングの練習をするんですが、15分ぶっ続けでやるんです。日本なら7分がいいところ。ボールを常に動かすんですね。子どもたちはもうヘトヘトです」

 頭には「こんなに疲れさせていいのかな?」という疑問がわいたが、トゥールーズのコーチ陣に言わせれば「試合ではこれ以上に疲れている。その中では普通じゃないか」。チームの哲学である“立ってつなぐ”ラグビーを試合で実現するための準備は、こんなところから始まっていた。

 フランスのラグビー界は、ジュニアからトップチームまでクラブでプレーし続けるのが特徴だ。日本や英国など、学校のチームが主軸になる年代がある国とは対照的。そのため「超速ラグビーを全世代がやっているんです。オフロードパス(タックルされながら味方にボールをつなぐパス)でラックを作らず、スペースにどんどんつないでいく」と、指導のスタイルが断絶しない。フランス代表やトップチームが目指すラグビーを、少年少女も同じように実践できるのは、強化の上で大きなメリットとなる。

 ブルーレヴズも、前身のヤマハ発動機時代からジュニア選手育成の歴史は20年を超える。ただ制度上「高校、大学でどうしても切れてしまう」のが悩みだ。中学生チームの監督としての藤井さんは「こういうプレーをしたら怒られると動くのではなく、自分たちで考えられる選手を育成しようとやっています。選手の根っこ、可能性を太くして高校ラグビーへ送り出すつもりです」という考え方のもとで選手を指導してきた。

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