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「勝つ」と選手に言わず日本一に 明大ラグビー部と苦節5年、こだわる鍋料理に「学生スポーツ」の意義

大学選手権優勝後の会見で想いを語る神鳥監督【写真:吉田宏】
大学選手権優勝後の会見で想いを語る神鳥監督【写真:吉田宏】

戦力充実で挑んだ3年目 最も厳しかった4年目

【3年目/2023年シーズン】
対抗戦:6勝1敗(2位) 大学選手権:決勝●15-34帝京

「前年の敗戦を引きずって、うじうじと悩んでいたわけじゃないですけれど、やらなきゃいけないですし、この年が部の100周年でした。選手をみても、絶対に勝てるメンバーだと思ったので、しっかりと優勝へ向けて頑張ろうという思いに切り替えていました」

 神鳥監督も語っているように、3年目は充実したメンバーが揃ったシーズンだった。結果的に対抗戦2位、選手権は準決勝で帝京大に敗れてシーズンを終えたが、指揮官は冷静に現実を受け止める。

「成績は残念でしたが、このシーズンは、もう持てる力は出せた。僕の監督時代でも1、2の強いチームだった。優勝出来る力は十分にあったと思います。でも、帝京大もメンバーが揃っていて、すごく強いチームだったので、結果をみれば向こうが上回っていたということです。唯一惜しまれるのは、いいコンディションで選手にやらせてあげたかったですね。ああいう天候だと、向こうのほうが引き出しが多かったですね」

 悔やんだのは、急激な雷雨のために55分間に渡り試合が中断されたことだった。メンバーを見ると、前年度も経験するPR為房、LO山本、FL福田、SO伊藤耕太郎(現BR東京、日本XV)ら大学トップレベルの選手が残り、戦闘能力では間違いなくピークだったが、帝京大もHO江良颯(現S東京ベイ、日本代表)、FL青木恵斗(現トヨタV、日本XV)、奥井章仁(同、日本代表)、SO小村真也(同、日本代表)ら学生屈指の布陣だった。

 100周年のメモリアルシーズンを準優勝で終えた神鳥監督だったが、試合後の会見で悔しさを見せながらも、淡々と受け応えしていたのが印象に残る。その表情からは、歴代でも屈指の好チーム同士がぶつかり合い、荒天の中でも自分たちのスタンダードを出し切った方が勝利したという現実を受け入れているのだと読み取れた。

 メモリアルVを逃した後の4シーズン目は、また別の意味でチャレンジの1年だった。

【4年目/2024年シーズン】
対抗戦:5勝2敗(3位) 大学選手権:準決勝●26-34帝京

「あの年はしんどいシーズンでしたね。スタート前から厳しいだろうというのはわかっていましたので、どうやって明治としての存在を示せるかが大きなチャレンジになると考えていました。実際に春のシーズンでも、メンバー繰りが難しかったですね。フロントローだと主力級の6人のうち4人がいないという状態でした。なのでライバルの帝京にも早稲田にもスクラムを押されていましたね」

 就任4年目で最も厳しい1年だったのは間違いない。だが、その苦闘の中でチームは対抗戦を3位で終えると、大学選手権でも正月越えの準決勝まで辿り着いた。

「結果的に再び帝京にしっかりとやられてしまったけれど、前半は12-14というゲームをしてくれた。大学生の伸びしろとか、成長の速さというのを一番感じさせてくれたという点では印象深いチーム、1年でした。シーズンの最後に3番のジャージー(右PR)に袖を通した倉島昂大は、このシーズンの象徴的な選手でした。3年生までほとんど紫紺(のジャージー)を着たことがなかった選手です。それがスクラムの救世主になると思っていなかった。

 でも、彼がいちばん明治のスクラムのプライドを見せてくれた。帝京戦でスクラムを押し込んで相手から反則を奪った時は、それだけで大学ラグビーの醍醐味を感じさせてもらいました。負けて満足しちゃいけない。けれど、正月も越えられないかも知れないと思っていた選手たちの成長をいちばん間近で見て来られたことで、なんだか満足してしまって。なにか一番大切なものを感じさせてくれたチームだったなと、今でも印象に残っています」

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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