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大学駅伝スカウト、持ちタイムだけで測れない高校生の素質 箱根シード校・法大の場合は「攻め」「目的と意図」

坪田監督は粗削りの選手にも魅力を感じるという【写真:中戸川知世】
坪田監督は粗削りの選手にも魅力を感じるという【写真:中戸川知世】

魅力を感じるのは攻める選手「中高生はガンガン行って最後に潰れてもいい」

 スカウティングで重視されるのは選手の持ちタイムだ。それが陸上における最大の価値基準になる。もちろんそれだけではないところに目をつけるところもある。坪田監督は、選手のどういうところを見て、判断しているのだろうか。

――スカウティングでは、選手のどんなところを見ていますか。

「レースで集団のうしろについて、最後だけピッと前に出て勝つみたいな選手がいますが、それも大事ですけど、そういうタイプは私はあまり好きじゃないですね。負けてもいいからレースでどんどん前で行く選手は、ちょっとおもしろいなって見てしまいます。中高生は、行けるところまでガンガン行って最後に潰れてもいいと思うんです。それは私自身もそういうタイプだったのかもしれないんですが、やはり攻める選手には魅力を感じます」

――粗削りな選手がおもしろいということでしょうか。

「そうですね。ちょうど、私が法政のコーチになった頃、興味がある選手がいたので関東のインターハイの地区大会を見に行ったんです。高校の先生に挨拶に行って、『走りを見せてください』と言うと『走りを見られると厳しいですよ』と言われたんです。なぜかなって思って、その選手をずっと見ていたんです。スタートする前、アップで流しをしていたのですが、(フォームが)まるでロボットみたいで、これは厳しいなとさすがに思いました。でも、レースになると前に出て集団を引っ張るんです。これじゃ負けてしまうのに、どうしてこんなことをするんだろうって思って見ていました。最後は抜かれてインターハイに出れなかったのですが、走りっぷりがいいなと思って、うちに来てもらったんです」

――その選手は法政大で走れたのですか。

「関口(頌悟)は、学生ハーフでも5、6番に入り、箱根では5区で区間2位を獲るなど、うちで活躍してくれました。私のやり方にもわりとスムーズに順応できたので、すごく印象深い選手でした」

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佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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