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茶髪、ピアス、原付バイク…箱根常連校で「全部禁止」と言った翌日に起きたこと 部活の強化とルールの関係

第101回東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)が1月2、3日に行われる。「THE ANSWER」は令和を迎えた正月の風物詩を戦う各校の指導者に注目。3年連続シード権を獲得し、安定感を発揮している法政大には、かつて選手の派手な茶髪やサングラスで強豪校にのし上がり、注目された時代があった。しかし、2013年4月にOBである坪田智夫監督が就任後に様変わり。今回は駅伝における学業と競技のバランス、そしてチーム強化におけるルール作りについて考える。(全4回の第2回、聞き手=佐藤 俊)

かつて派手な茶髪で注目された徳本一善(中央)、時を経て法大の文化も変化していった【写真:産経新聞社】
かつて派手な茶髪で注目された徳本一善(中央)、時を経て法大の文化も変化していった【写真:産経新聞社】

「箱根駅伝監督、令和の指導論」 法大・坪田智夫監督/第2回

 第101回東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)が1月2、3日に行われる。「THE ANSWER」は令和を迎えた正月の風物詩を戦う各校の指導者に注目。3年連続シード権を獲得し、安定感を発揮している法政大には、かつて選手の派手な茶髪やサングラスで強豪校にのし上がり、注目された時代があった。しかし、2013年4月にOBである坪田智夫監督が就任後に様変わり。今回は駅伝における学業と競技のバランス、そしてチーム強化におけるルール作りについて考える。(全4回の第2回、聞き手=佐藤 俊)

 ◇ ◇ ◇

――学業と陸上のバランスをどうとらえていますか。

「スカウティングの段階で、高校の先生が『この子は性格は大丈夫だけど、勉強はもうひとつ』というと、私は足踏みします。陸上をしている今の子たちは、勉強をする癖がついていないですし、大学は陸上だけやっていればいいみたいな感じです。大学の部活動である限り、学業があっての陸上なので、それを履き違えて陸上だけという風になるのは違います。私も決して勉強ができるタイプではなかったですけど、必死にやりました。できないのはしょうがないけど、やらないのとは違う。勉強をする癖がない子は、陸上で自分で考える癖もつかないので成長するのが難しいと思います」

――勉強をする癖、習慣がないと陸上もうまくいかない。

「学業を疎かにするのは、手を抜く癖だと思うんです。私が学生たちを自分の目で見て、指導できるのは、1日のうち4、5時間です。残りの時間は、正直なところ何をしているのか、分からない。勉強をする癖がない子は食事や睡眠でも手を抜くと思うので、『勉強が』と先生やその子が言った時点で、私はちょっと引いてしまいます」

 法政大が注目を浴びたのは、選手の奇抜なヘアスタイルの時だった。オレンジ軍団と称され、法政大の活躍に世間が沸き立った。

――かつて法政大と言えば、茶髪で速いというイメージでした。

「徳本(一善)と私が2年の時、茶髪で箱根に出た時ですね(苦笑)。徳本が1区を走って区間賞を獲り、私も2区で区間賞を獲りました。サングラスも当時、誰もつけていなくて、茶髪の徳本がすごい勢いで1区を駆けたので、みなさん、法政と言えば、そのイメージが強かったと思います」

――しばらくその路線がつづきました。

「徳本が強烈なインパクトを残した時から数年間、法政大はけっこう明るいイメージでしたし、駅伝でも結果を出していたんです。でも、徐々に変なところだけ残っていってしまって、結果を出さなくても茶髪にしてもいいみたいなのが10年以上続きました。私がコーチに就任した2010年は、まだ入寮前の高校生が茶髪にしてピアスしてグラウンドに立っていたんです。それはさすがに違うだろって思って、その時から一切禁止にしました」

――学生から反発はなかったのですか。

「茶髪、ピアス、原付バイクも全部禁止と言った翌日、誰も何も言ってこなかったです。逆に寂しいなぁと思いましたけど、彼らはそんなにこだわりがなかったのです。たぶん、法政に入ったら茶髪できるみたいな雰囲気だったんだと思いますね。こだわりがなく、流される。だから、弱くなっていったんだと思います」

――最低限のルール作りは、強いチームを作るための布石になるのでしょうか。

「箱根に出ているから何でもあり、ではなく、陸上部ってちゃんとやっている、きちんとしていると言われるのが応援されるチームだと思いますし、強いチームだと思うんです。縛ればいいということではないですが、競技に集中して結果を出すためにその時は一定のルールが必要でした」

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佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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