勝負は「最初の3時間」 高校生指導の睡眠コーチが推奨、快眠を導く3つのポイント
成長ホルモンは「ほとんどが最初の深い眠りの時に分泌される」
そしてアスリートが1日の疲れを取り、体の修復をしていくには「寝入り端の3時間が最も重要」だという。
「体を修復していくには、なるべくたくさんの成長ホルモンを分泌させる必要がある。また成長ホルモンは、何時間寝るかに関わらず、ほとんどが最初の深い眠りの時に分泌されます」
逆に最初の睡眠が浅いと「そこから深くは入れず、その後のリズムも変わってしまう」のだそうだ。
矢野は、最初から深い眠りに入るためのポイントを3つ挙げた。
1.深部体温をピークから下げていく
「相生学院では就寝の90分前くらいから、15分間くらい湯舟に浸かることを推奨しましたが、これも快眠ルーティーンの一つです。1度深部体温を上げておくと、今度は下がりやすくなる。雪山に遭難すると深部体温が下がり眠くなりますが、同じ原理です」
2.メラトニンの分泌量をピークにする
「眠りのホルモンの分泌量を増やすのも重要なポイントです。快眠に繋がる栄養素を取るようにして、就寝の1時間くらい前からは強い光を避け150ルクス以下で過ごすようにします」
3.アデノシンを蓄積する
「アデノシンが溜まると、脳が『もう疲れたから眠りたい』という欲求を出してきます。しかし途中で一度うたた寝をしてしまうと、アデノシンを減らしてしまうので、いざ夜になって寝ようとする時に深く入っていけなくなります。相生学院では15時以降には、うたた寝をしないように伝えました」
こうして毎日のルーティーンで、入眠時に角度をつける。それが効果的なリカバリーを図るための重要なポイントとなる。
(第5回へ続く/文中敬称略)
(加部 究 / Kiwamu Kabe)