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“女子よりも遅い弱小陸上部”が箱根常連校に 自腹で全国回り勧誘、アパート共同生活「自信得るまで20年…」

第101回東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)が1月2、3日に行われる。「THE ANSWER」は令和を迎えた正月の風物詩を戦う各校の指導者に注目。コーチ時代を含め、40年の指導キャリアを持つ川崎勇二監督が指揮するのが中央学院大だ。高校時代、タイムが普通でも個性的で可能性がある選手を強化し、上級生で開花させ、チーム力を高めていくやり方は強豪校とは異なり、育成型チームの模範であり、代表的存在でもある。その軸にいる川崎監督に中央学院大で指揮を執ることになった経緯、指導理念、今回の箱根駅伝について話を聞いた。(全4回の第1回、聞き手=佐藤 俊)

前回100回大会は総合19位だった中央学院大、箱根常連校になるまでには川崎監督の献身があった【写真:産経新聞社】
前回100回大会は総合19位だった中央学院大、箱根常連校になるまでには川崎監督の献身があった【写真:産経新聞社】

「箱根駅伝監督、令和の指導論」 中央学院大・川崎勇二監督/第1回

 第101回東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)が1月2、3日に行われる。「THE ANSWER」は令和を迎えた正月の風物詩を戦う各校の指導者に注目。コーチ時代を含め、40年の指導キャリアを持つ川崎勇二監督が指揮するのが中央学院大だ。高校時代、タイムが普通でも個性的で可能性がある選手を強化し、上級生で開花させ、チーム力を高めていくやり方は強豪校とは異なり、育成型チームの模範であり、代表的存在でもある。その軸にいる川崎監督に中央学院大で指揮を執ることになった経緯、指導理念、今回の箱根駅伝について話を聞いた。(全4回の第1回、聞き手=佐藤 俊)

 ◇ ◇ ◇

――中央学院大の監督に就任されたのは、どのような経緯からだったのでしょうか。

「順天堂大を卒業して、地元の神戸で中学校の教員になろうと考えていたんです。そうしたら大学の恩師である澤木(啓祐)先生から連絡が来て、『中央学院大から長距離を強くしたいので指導の話が来ている。もう先方と連絡しているのでコーチとして行け』って言われまして(苦笑)。さすがに躊躇して、1日だけ考えさせてくださいと伝えました。いろんな人に相談したら『澤木さんならちゃんと面倒を見てくれる』というので、お引き受けした感じです」

――中央学院大で指導を始めた当時、チームは、どんな状態だったのでしょうか。

「コーチで入った85年当時、陸上部はあってないようなものでした。トラックがないので更地を走り、寮もありません。部員が10人程度で、長距離は2~3人でした。1500mのベストが5分ちょうどぐらいで女子よりも遅かったです。これじゃとてもじゃないけど強くするのは無理だと思い、常勤助手として授業があったので、その合間に自腹で全国を回って翌年、2人の長距離選手が入りました。そこからが本当のスタートになりました」

――寮がない中、どのように生活し、強化していったのですか。

「私が勧誘してきた学生2人と短距離の選手を合わせて5人は、我孫子にアパートを借りて共同生活をしていました。近くに私が住んでいたので食事の時だけ自炊の指導をして、練習は一緒に走っていました。そんな状態だったので、箱根に出るとか、まったく考えられなかったですね」

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佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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