少しの失敗で殴られ鼻血止まらず「大人になり耳鼻科で骨折が…」 五輪を夢見た女性スイマー「怒ってはいけない大会」に託した願い
怒られてきた経験があるからこそ、伝えられること
幼少期に受けた厳しい指導は、当時の私を苦しめていたことに間違いはない。しかし今だからこそ、その経験を通じて伝えられることがあると感じている。
自分の過去の痛みを理解することで、他者の苦しみにも敏感になれた。例えば、同じように厳しい指導を受けている選手の姿を見ると、私は当時の自分を思い出す。彼らがどれほどのプレッシャーを感じているのか、どのような不安を抱えているのかを感じ取ることができて心が苦しくなることも少なくない。
これらの経験は、私自身の成長の一部であり、他者への指導やサポートに役立つ貴重な資源となっている。過去を新たな視点で捉え直し、改めて学べることがあると気づいたのである。
また、自分の一言が選手や他の人々の人生に大きな影響を与える可能性があると強く実感している。その責任の重さを自覚し、慎重に言葉を選び、選手たちに寄り添って向き合うことが大切であると感じる。
もちろん厳しい声かけが時には必要である。しかしその一方で、寄り添うことの重要性を忘れてはならない。選手たちが安心して自分を表現できる場所があることを願っている。
今回、初めて「監督が怒ってはいけない水泳大会」を開催することが出来たが、ゲストアスリートにパラリンピックとオリンピックの選手が登壇してくれた。アスリートとのふれあいを通して子どもたちに新たな挑戦をする意欲を提供できたことは、子どもたちの心に残ったことと思う。
この大会を通して、スポーツの持つ力、そしてその力が次世代に与える影響を改めて感じている。これからもこの思いを大切にし、子どもたちや選手たちのためにより良い環境を整え、サポートしていきたい。
(竹村 幸 / Miyuki Takemura)