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「4年間で燃え尽きないように…」 中央大・藤原正和監督の駅伝指導と現役時代の教訓

心に刻む「人間万事塞翁が馬」の言葉

 藤原監督は30歳になってから、将来は指導者になることを考え、指導について学びを始めた。名将として知られたプロ野球の野村克也や、元ラグビー日本代表監督エディ・ジョーンズの本を読むなど、さまざまな分野から指導論を吸収していった。

――指導していく上で印象的な言葉はありましたか。

「指導者の言葉ではないんですが、『人間万事塞翁が馬』という格言があるじゃないですか。それは僕の座右の銘にもしているのですが、指導1年目で箱根の予選会を落とした時、いきなりこれだけ躓いたら、これ以上は悪くならないだろう。そういう思考回路に至らないと、やっていけなかったですね。

 ただ、ダメな時をダメだったで終わらせるのではなく、ダメな中からちゃんと学ぼうという姿勢を持つようにしていますし、良かったら良かったなりの理由を考えて次に活かしていく作業は、やってきています。それはこれからも続けていきたいと思っています」

 就任1年目に味わった苦労は、その後の藤原監督の指導に大きな影響を与えている。

【第1回】大学駅伝の名門「中央大が終わってしまう」 藤原正和監督、就任1年目に大改革の意図

【第3回】妻の言葉で「ハッと気づいた」 中央大・駅伝監督が“怒らない”指導に変えた5年目の決断

【第4回】少数精鋭の中央大でいかに駅伝を戦うか 名門率いる藤原正和監督が胸に刻む信念と葛藤

【第5回】箱根駅伝優勝へ、中大の“10年計画” チャンスは残り3回、藤原正和監督「風穴開けたい」

(佐藤 俊 / Shun Sato)

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藤原 正和

中央大 陸上競技部 駅伝監督 
1981年生まれ、兵庫県出身。現役時代は中央大の中心選手として箱根駅伝などで活躍。2001年ユニバーシアード北京大会の男子ハーフマラソンで金メダルを獲得した。03年のびわ湖毎日マラソンでは日本人トップの3位入賞、2時間08分12秒のタイムは初マラソン日本最高記録とマラソン日本学生最高記録となっている。卒業後はホンダに入社。世界陸上の男子マラソンに2度出場するなどの実績を残し、16年に現役を引退すると中央大の駅伝監督に就任した。同年の箱根駅伝出場を逃すなど苦しい時も過ごしたが、着実にチームを強化。今年度は3大駅伝にフル参戦し、出雲駅伝3位、全日本大学駅伝7位の成績を引っ提げて箱根路に挑む。

佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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