大学駅伝の名門「中央大が終わってしまう」 藤原正和監督、就任1年目に大改革の意図
今年度の大学駅伝シーズンも佳境を迎え、毎年1月2日と3日に行われる正月の風物詩、箱根駅伝の開催が近づいている。10月の出雲駅伝、11月の全日本大学駅伝で2冠を達成した駒澤大を止めるのはどこか――。「THE ANSWER」では、勢いに乗る“ダークホース校”の監督に注目。今回は箱根駅伝で歴代最多の総合優勝14回を誇る名門・中央大学で、就任7年目を迎えた藤原正和監督だ。前回大会で総合6位に入り、10年ぶりのシード権を獲得したが、近年低迷していたチームをどのように立て直してきたのか。第1回では2016年の就任とともに様々な改革を断行した、激動の監督1年目を振り返った。(取材・文=佐藤 俊)
箱根駅伝「ダークホース校の指導論」、中央大学・藤原正和監督インタビュー第1回
今年度の大学駅伝シーズンも佳境を迎え、毎年1月2日と3日に行われる正月の風物詩、箱根駅伝の開催が近づいている。10月の出雲駅伝、11月の全日本大学駅伝で2冠を達成した駒澤大を止めるのはどこか――。「THE ANSWER」では、勢いに乗る“ダークホース校”の監督に注目。今回は箱根駅伝で歴代最多の総合優勝14回を誇る名門・中央大学で、就任7年目を迎えた藤原正和監督だ。前回大会で総合6位に入り、10年ぶりのシード権を獲得したが、近年低迷していたチームをどのように立て直してきたのか。第1回では2016年の就任とともに様々な改革を断行した、激動の監督1年目を振り返った。(取材・文=佐藤 俊)
◇ ◇ ◇
2023年の箱根駅伝で面白い存在になっているのが中央大学だ。前回の箱根駅伝では6位に入ってシード権を獲得し、今シーズンは地に足をつけた強化で選手が成長。出雲駅伝は3位、全日本大学駅伝は7位と地力を高め、優勝候補の駒澤大や青山学院大に迫る勢いだ。
その中央大を指揮するのが、藤原正和監督である。2016年に陸上競技部の駅伝監督に就任して以来、今年で7年目。名門の立て直しを図ってきた“藤原流”とも言える強化育成は、どのようなものだったのだろうか。
――2016年、監督に就任した当時のチームは、どのように見えていましたか。
「駅伝監督就任会見の日、3年生の代表と1、2年生の代表がそれぞれ『話を聞いて下さい』と言ってきました。3年生と1、2年生が完全にチーム内で分かれていたんです。3年生のある選手がテストの点数が悪かったことを茶化してSNSにあげてしまい、それ以来、上級生の自覚を促すべくチームを2つに分けて練習させていたようで、上級生は練習もほとんどやっていなかった状態でした。『この戦力のなか、練習もできていないとは……』と思ったのですが、すぐに新人も含めて全学年で合宿をしました。その時は新しい監督はどんな人なのだろうという緊張感と、僕らは変わりたいという欲求が強かったせいか、すごく良い練習ができたんです。これだけ良い練習ができるのに、なぜこんなに弱いのだろうと思っていました(苦笑)」
――春合宿から通常の練習に戻った時も順調だったのですか。
「一生懸命やったのは、合宿だけだろうなという読みがあったので、普段の練習を見てみようと思って、こっそり何回か見に行ったんです。そうしたら案の定、ダラダラとやっていました。これが本当の姿だな、かなり厳しいスタートになるなと思いましたね」
――当時の学生のレベルは、どのくらいだったのですか。
「1万メートルのタイムで、28分、29分台のタイムを持っていたのが3人だけです。その年の全日本大学駅伝の予選会20チーム中17番でした。練習は、朝ジョグもろくにできなかったですし、中には朝ジョグをせずにすぐに帰寮する子もいました。寮もグラウンドも汚くて、マネージャーや練習が空いている子に手伝ってもらって寮の清掃を3、4か月間継続してやりましたね。挨拶をする、掃除をする、時間を守るというのを徹底させました。1年目はほとんど陸上の指導ができず、生活面のことばかり言って終わった感じです」