箱根駅伝“常連校”との差とは? 立教大の“現役ランナー”監督が抱く、個を伸ばす難しさ
選手1人ひとりの才能を見抜き、個を伸ばしていく陸上指導者の、独自の育成理論やトレーニング法に迫るインタビュー連載。近年多くの大学が力を入れる駅伝で、新入生のスカウトは年々激しさを増している。1968年以来の箱根駅伝出場を目指す立教大学は、就任4年目を迎えた“ランナー兼指導者”の37歳・上野裕一郎監督の下で、どのような強化を進めているのか。現役ランナーの視点を持ちながら選手を指導する上野監督に話を聞いた。(取材・文=佐藤 俊)
連載「陸上指導者の哲学」、立教大学陸上競技部男子駅伝チーム・上野裕一郎監督インタビュー第3回
選手1人ひとりの才能を見抜き、個を伸ばしていく陸上指導者の、独自の育成理論やトレーニング法に迫るインタビュー連載。近年多くの大学が力を入れる駅伝で、新入生のスカウトは年々激しさを増している。1968年以来の箱根駅伝出場を目指す立教大学は、就任4年目を迎えた“ランナー兼指導者”の37歳・上野裕一郎監督の下で、どのような強化を進めているのか。現役ランナーの視点を持ちながら選手を指導する上野監督に話を聞いた。(取材・文=佐藤 俊)
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陸上部の強化に必須なのが、スカウティングだ。それは、強化の一丁目一番地であるが、最近は生徒がSNSなどで事前に情報を仕入れ、高校の監督も生徒や親の要望に配慮しているところが多く、スカウティングはより厳しくなっている。立教大学陸上競技部男子駅伝チームの上野裕一郎監督は、どのようなスカウティング戦略を立てているだろうか。
「これはどこも同じだと思いますが、やはりタイムを持っていて力がある選手が優先順位の最初にきます。5000メートルで13分台の選手はだいたい強豪校に行くので、うちは14分一桁から30秒ぐらいまでが目安になります。ただ、走りを見るなかで自分ではスピードがないと思っていても実は潜在的にいいものを持っていたり、たまたまレースや記録会を見に行って、すごくいい動きをしていたらすぐにコンタクトを取るようにしています。瞬間的にいいと思ったら自分の目を信じていかないと、どんどん先を越されていってしまうので」
立教大にはアスリート選抜入試と呼ばれるスポーツ推薦があり、数名の枠がある。ただ、スポーツ推薦で獲得しても成長には個人差があり、なかなか伸びてこない選手もいる。
「推薦で入ってきた選手のなかには、まだ時間が必要だなとか、力がついていないなという選手もいます。2年、3年には上がってきてほしいんですけど、簡単じゃないですね。ただ、國學院さんや東京国際さんは14分30秒、40秒ぐらいの選手が多く入っているんですけど、その選手たちが2、3年後に伸びているんですよ。それぞれ強化育成の方針があると思うんですけど、個を伸ばしていることには変わりないので、一度話を聞いてみたいなとは思います。
ただ、真似をしようとは思っていません。うちはトラックシーズンはあまりロードをやらないですし、スピード重視で強化しているのですが、監督の楽しみ、面白さって自分が正しいと思ったやり方で選手が成長し、記録が出ることなので、そこはブレずにやっていきたいと思っています」