ボクシング界最強・井上尚弥は「天才ではない」 父・真吾トレーナーが明かす真意とは
ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)バンタム級決勝が明日7日に迫っている。世界3階級制覇王者で現在はバンタム級のWBAとIBFのベルトを手にしている“モンスター”井上尚弥(大橋)が5階級制覇王者でWBAスーパー王者のノニト・ドネア(フィリピン)と対決する大一番は、2万人規模のさいたまスーパーアリーナが超満員となるのは確実だ。また弟のWBCバンタム級暫定王者、拓真もWBC正規王者ノルディ・ウーバーリ(フランス)との団体内統一戦が決まっており、井上兄弟にとってキャリア最大の正念場となる。
井上尚弥&拓真の父、真吾トレーナーの独占インタビューVol.2
ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)バンタム級決勝が明日7日に迫っている。世界3階級制覇王者で現在はバンタム級のWBAとIBFのベルトを手にしている“モンスター”井上尚弥(大橋)が5階級制覇王者でWBAスーパー王者のノニト・ドネア(フィリピン)と対決する大一番は、2万人規模のさいたまスーパーアリーナが超満員となるのは確実だ。また弟のWBCバンタム級暫定王者、拓真もWBC正規王者ノルディ・ウーバーリ(フランス)との団体内統一戦が決まっており、井上兄弟にとってキャリア最大の正念場となる。
井上尚弥は決して天才ではない――。父でありトレーナーでもある井上真吾氏が必ず口にする言葉だ。世界3階級制覇を達成して盤石の強さを誇る尚弥、兄の背中を追い続けて世界タイトルを獲得した弟の拓真はいかにして育ってきたのか。第2回は真吾氏の育成論に迫った。
◇ ◇ ◇
【第2回】
――最近の尚弥選手を見ていてすごいなと思うのは真吾さんが常に口にしている意識の高さです。5月のロドリゲス戦の後、メディアに練習を公開したとき、休養明けの練習でここまでキレた動きをするのかとびっくりしました。
「試合が終わってオフの期間が長いと、やっぱりそこから体をつくるのが大変なんですよ。だから高校の時からですけど、試合が終わってすぐは思い切りやる必要はないけど、ちょっとランニングをして体が重たくならないように、というのはずっと言ってきていることです」
――継続は力なり、ですか。
「そうですね。ボクシングっていい選手、才能のある選手でも付き合いとかでダメになっちゃう選手っていっぱいいるじゃないですか。そういう話はよくしましたね」
――尚弥選手はメンタル的にも強く、今では集中力を切らすということがないように見えます。
「それは今でもありますよ。自分はずっと一緒にいるから良いところも悪いところもわかります。だから自分が言うしかないんで。それでふんどしが締まるんですよね」
――じゃあ今でも緩む部分はあるんですね。
「あります、あります。試合だけしか見ていない人は『天才だ』とか言いますけど、そんなことないんですよ。それが一番わかっているのは自分しかいないんです。悪いところもまだまだいっぱいありますし、それを言えるのってやっぱり親父である自分しかいなくて、会長とかも気づかないかもしれないし、気づいても言えないかもしれないし」
――注意をして素直に受け取ってくれますか?
「受け取りますね。結局筋が通っているか通っていないかじゃないですか。そうやって育っているし、育てたのは自分ですから。だから『ああ、今言われたのはその通りだな』って思えるんですよね。自分だって逆にナオに怒られることありますから。LINEで『お父さん今のはもう少し優しい言葉で言ってあげて』とか。そうすると自分だって『うるせえこの野郎!』とは思わずに、『そうだよな』ってなるんですよね。それはお互い様なんです」
――ああ、子どもからも言われるわけですね。
「うちらはこれが自然ですから。あいつらもやっぱりズバって言いますからね。で、自分も言われてそうだと思えば『反省しなきゃ』ってなりますね。結局正しいか正しくないかなんですよ」