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走りもキックも「勝ちポジション」が大切 BUラグビーアカデミーで子供たちが得た学び

ラグビー元日本代表の箕内拓郎氏、小野澤宏時氏、菊谷崇氏が主宰する「ブリングアップ(BU)ラグビーアカデミー」。2018年5月に東京・調布市からスタートしたアカデミーは、今年から東京ウエスト(調布)校、東京イースト(千住)校、静岡校の3校に輪を広げた。

3校から集まった小学4年生から中学生までの37人が参加した【写真:荒川祐史】
3校から集まった小学4年生から中学生までの37人が参加した【写真:荒川祐史】

走り方のスペシャルコーチ・里大輔氏が教えた4つのポイントとは

 ラグビー元日本代表の箕内拓郎氏、小野澤宏時氏、菊谷崇氏が主宰する「ブリングアップ(BU)ラグビーアカデミー」。2018年5月に東京・調布市からスタートしたアカデミーは、今年から東京ウエスト(調布)校、東京イースト(千住)校、静岡校の3校に輪を広げた。

 ラグビーは楕円のボールを後ろにパスしながら、全員で前方のゴールを目指すスポーツだ。プレーする上で最も大切なのが、状況判断能力とコミュニケーション能力。これはラグビーに限らず、他のスポーツをプレーしたり、社会に出て活躍したりする場面でも、最も求められる能力でもある。BUラグビーアカデミーでは、子供たちが主人公。コーチは考える材料ときっかけを与えるサポート役に徹し、ラグビーを通じた人間力のスキルアップを目指している。

こうした同じ理念の下でラグビーを楽しみながらも、普段は各校に通う子供たちが顔を合わせる機会はない。だが、夏休みを迎えた7月30、31日に静岡県静岡市の静岡聖光学院グラウンドで、待望の「Bring Up Mulch Sports Camp 2019」が行われた。

 参加したのは、3校から集まった小学4年生から中学生までの37人。1日目、午後1時過ぎに東京組と箕内&菊谷両コーチを乗せたバスが無事に到着すると、小野澤コーチと一緒に出迎えた静岡組と合流し、ランチタイムで交流を図った。続いて行われたのは、今回のメインイベントの一つでもある、走り方のスペシャルコーチ・里大輔氏(sato speed)による走り方講座が行われた。

 大学や実業団の陸上部監督からプロサッカー選手のコーチ、ラグビー日本代表のスピードコーチなど、幅広い経歴を持つ里コーチ。「今日は元気300%で行こう!」と盛り上げながら、子供たちの目線に合わせた分かりやすいコーチングで、まずは速く走れるようになる4つのポイントを挙げた。

1.足は勝ちポジション(つま先に重心をかける)
2.上半身は大きい四角(猫背にならず、胸を反らせすぎず、前から見た時に面積の大きな四角になるように)
3.足はCを通す(足は足首の高さをA、ふくらはぎの高さをB、膝の高さをCとした時、つま先がCの高さを通るように高く上げる)
4.手の振りは「空」と「地面」(指先が空と地面を交互に指すように大きく振る)

 室内で話を聞きながら、その場ダッシュなど軽いアクティビティを重ねるうちに、最初はやや緊張の面持ちだった子供たちは、次第に和やかなムードとなり、活発な発言や意見交換も生まれた。

 続いて、屋外に出た子供たちは、4つのポイントを繰り返し復唱しながら、実際にグラウンドを走ることに。ここでもう一つ、里コーチから教わったの「必殺技」は、走る直前にスタートを切る時の姿勢だ。両腕をぶらりと下げて立っていては、早く1歩目が動き出せない。そこで伝授されたのが、走り出しやすいように前傾し、かつ相手に襲い掛かるように片手を顔の前に構えた「ガオッ」の構えだ。里コーチのアドバイスを受けながら、何度もダッシュを繰り返すうちに、子供たちはそれぞれの割合でスピードアップを成功させた。

初日は走り方のスペシャルコーチ・里大輔氏による走り方講座【写真:荒川祐史】
初日は走り方のスペシャルコーチ・里大輔氏による走り方講座【写真:荒川祐史】

2日目のスペシャルコーチはキックの達人・君島良夫氏

 この日の締めくくりとして行われた7人対7人のタッチラグビーでも、里コーチから教わった走り方のポイントを意識。ゲームの合間に行われたグループトークでは、中学生のチームから「トップスピードでボールをもらってゲインすれば、連続6回までの攻撃でもトライにつながる」という意見が出たり、「タッチした後、ディフェンスラインが5メートル下がる時、声を掛けて早く揃えば、すぐに前に出て相手にプレッシャーを掛けられる」といった「走り方」や「スピード」を生かす意見も出た。

 旅館・三園の協力の下、美味しい食事と心地よい睡眠で元気を回復させた子供たちは、2日目にはキックのスペシャルコーチ・君島良夫氏(ジャパン・エリート・キッキング)を迎え、キックの練習を行った。ラグビーは後ろにパスを回しながら、前方のゴールを目指すスポーツ。その中で、大きく前進するための絶好の手段がキックだ。適切なキックが蹴れれば、スピーディーな攻撃や得点力アップにもつながる。

 ここで君島コーチが、子供たちに教えた基本的なポイントは3つあった。

1.ボールの先端を蹴ること
2.ボールは靴紐の真ん中あたり(甲の真ん中あたり)で蹴ること
3.キックは手が大事。ボールは垂直に落とすこと

 歩きながらキックを蹴る中で、見つかったポイントもあった。それは「キックを蹴る時の軸足は、つま先に重心がかかる」ということだ。前日の走り方講座で里コーチに教わった「勝ちポジション」が、キックでも大切になることを知り、子供たちは驚きと同時にうれしそうな表情を浮かべていた。

(THE ANSWER編集部・佐藤 直子 / Naoko Sato)

 2日間で2人のスペシャリストから走り方とキックのコツを伝授された子供たちは、最後に行われたタッチラグビーで前日よりもさらに幅広いプレーを見せるようになった。その様子を近くで見守りながら指導に励んだ箕内、小野澤、菊谷の3コーチも、短期間ながら最後は3校の垣根も学年の垣根も見せず、揃って成長を遂げた子供たちに笑顔だった。

 静岡で過ごしたひと夏の経験は、子供たちの記憶にしっかり刻み込まれたはずだ。

2日目はキックのスペシャルコーチ・君島良夫氏からキックのコツを学んだ【写真:荒川祐史】
2日目はキックのスペシャルコーチ・君島良夫氏からキックのコツを学んだ【写真:荒川祐史】

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