[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

「ダメなところ」を気にする日本の子供たち 指導者に必要な長所を伸ばす“褒め方”

リノ・ロベルトと吉住貴士。スペイン、日本両国の現場を知る2人の指導者の対談は、いよいよ第3回に突入。日本の育成現場の問題点を炙り出していく。

吉住氏は自身の経験も踏まえ、休養の重要性を説いた【写真:編集部】
吉住氏は自身の経験も踏まえ、休養の重要性を説いた【写真:編集部】

【スペイン人×日本人サッカー指導者対談|第3回】子供の成長に不可欠な休養「十分に休んで臨む試合はモチベーションもまったく違う」

 リノ・ロベルトと吉住貴士。スペイン、日本両国の現場を知る2人の指導者の対談は、いよいよ第3回に突入。日本の育成現場の問題点を炙り出していく。

 ◇ ◇ ◇

リノ「日本でも小学校低学年の子供は、テクニックも高く凄い選手が多い。でも10歳以上になると、サッカーも勉強もMAXで頑張らなければならない。休む間もない。あるJリーグクラブのセレクション前日に、12歳の子が1時間も走ったそうです。リカバリーには72時間かかるのに。また日本では、公式戦の前日に平気で練習試合を組む。疲れるのは身体だけではない。頭も疲れる。よく寝てリラックスするのは、とても大切なことなのです。JFA(日本サッカー協会)は、もっとプレーヤーズ・ファーストの環境を作っていかなければならない」

吉住「確かに日本では、試合が少ないと保護者からクレームが来るんです。それに今はスクールがとても多い。指導者がトレーニングは週に3回で十分だと伝えても、父親がスケジュールを埋めてしまう。午前に試合をしているのに、午後から別のスクールへ連れて行く親御さんもいます。『休ませたほうがいいですよ』と言ってもブレーキはかからないですね」

リノ「スペインでは、休養と食事は身体作りのために欠かせないものだと考えています。十分に休んで栄養を摂ってから臨む試合は、モチベーションもまったく違う」

吉住「国見時代はどんぶり3杯食べていて、それで身体も大きくなりました(笑)。でも休みがないと、疲れて(食事が)入らないんですよ。以前、夏休みに高校生に二部練習をさせたことがあります。朝7~8時の涼しい時間帯にトレーニングをして、日中の暑い時間帯には身体を動かさずに寝かせておいたんです。そして2度目のトレーニングは夕方。これを1か月間続けたら、見違えるように身体が大きくなった。やはりシエスタ(スペイン語で昼寝)は意味があるんだな、と思いました」

(加部 究 / Kiwamu Kabe)

1 2

加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
ABEMA
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集