今も進化する「ノムラの考え」 2軍球団に引き継がれる核心…武田勝が感じた“懐かしさ”の正体
南海、ヤクルト、阪神、楽天とプロ野球の4球団を率い、監督通算1565勝を挙げた野村克也氏が2020年2月に亡くなって5年になる。「ID野球」で一世を風靡した野村氏のエッセンスを色濃く引き継ぐのが、2軍イースタン・リーグに参加して2年目を迎えるオイシックスだ。昨年指揮を執った橋上秀樹氏は楽天ヘッドコーチとして、野村氏を支えた人物。そして新監督の武田勝氏も、社会人野球のシダックスで指導を受けている。「弱者が勝つため」の方法を突き詰めた野村野球は今の球界に、どう受け継がれているのか。

没後5年…オイシックスに引き継がれる「ノムラの考え」
南海、ヤクルト、阪神、楽天とプロ野球の4球団を率い、監督通算1565勝を挙げた野村克也氏が2020年2月に亡くなって5年になる。「ID野球」で一世を風靡した野村氏のエッセンスを色濃く引き継ぐのが、2軍イースタン・リーグに参加して2年目を迎えるオイシックスだ。昨年指揮を執った橋上秀樹氏は楽天ヘッドコーチとして、野村氏を支えた人物。そして新監督の武田勝氏も、社会人野球のシダックスで指導を受けている。「弱者が勝つため」の方法を突き詰めた野村野球は今の球界に、どう受け継がれているのか。
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昨季は投手コーチだった武田監督は、ベンチで橋上監督が行う試合後ミーティングのたびに、思っていたことがある。
「あっ、これ、懐かしいかもしれない……」
何かといえば、社会人野球のシダックスで経験した野村氏のミーティングがダブったのだ。「橋上さんは野村さんと付き合いが長かったから、理論的でしたよ」。結果を叱責するのではなく、その原因を突き詰めることを主にしていたのだという。
報道を通じてはベンチ内外での“ボヤキ”で知られた野村氏だが、何が懐かしかったのだろう。「聞き方ですよね。あの時どうだったかとか、どういう思いがあったのかとか。まず聞くという姿勢ですよね。押さえつけるんじゃなくて、本当に次につながる反省会でした」。武田監督は25歳で野村野球に出会い、3年後のプロ入りにつなげた遅咲きの選手だった。
野村氏の野球観は「弱くても、力がなくても、頭を使え」というものだった。1990年のヤクルト監督就任以降、引き受けたチームは低迷していたチームばかり。それは昨季、イースタン・リーグで最下位に終わったオイシックスにもつながる。
ただ武田監督は野村監督のように、キャンプで長時間のミーティングを行うわけではない。選手の自主性に任せる中で、令和の時代にも活かせる“ノムラの考え”があるとすればどの部分になるのだろうか。
「相手を知り、自分を知ることです。個性を出すのもいいんですけど、その前に相手の弱点を知らなきゃいけない。打者ならこの投手は真っ直ぐが多いから、どのタイミングで狙っていくかとか、ちょっと球数散らかってるから、フォアボール狙ってもいいんじゃないかとか、まず感じてもらうことです。同じチームとずっと戦うから、癖とか配球の偏りなんかも出てくる。そこをいかに自分で活かすか、考える野球ですかね」