子供にとって「親やコーチは神様のようなもの」 来日6年の伊指導者が“過干渉”に警鐘
ACミランアカデミー千葉佐倉でテクニカル・ディレクターを務めるルカ・モネーゼは、日本での現場指導が6年目になる。ヴェローナ大学スポーツ運動科学部で「スポーツ活動における指導方法論と成長期の運動と身体の発育」を専攻。ヴェローナにある2つのクラブ「キエーボ」と「エラス・ヴェローナ」、さらには「ミラン」のアカデミー部門で指導を重ね来日した。
【“知日家”イタリア人指導者の育成論|第1回】日本の親子関係に見る育成環境の違い
ACミランアカデミー千葉佐倉でテクニカル・ディレクターを務めるルカ・モネーゼは、日本での現場指導が6年目になる。ヴェローナ大学スポーツ運動科学部で「スポーツ活動における指導方法論と成長期の運動と身体の発育」を専攻。ヴェローナにある2つのクラブ「キエーボ」と「エラス・ヴェローナ」、さらには「ミラン」のアカデミー部門で指導を重ね来日した。
新鮮だったのは、イタリアと日本ではすでに赤ちゃんや幼児の段階から、明確に違いが表れるという話だった。
「日本では生まれた子供たちが10~11か月で歩くようになりますよね。でもイタリアでは、みんな1歳半くらいまで立ち上がりません。日本の園児の大半が文字を読み書きして、簡単な計算もこなしてしまいますが、イタリアにそんな子はいません。違うのは子供たちの資質ではありません。誰が子供に寄り添っているか、です」
実は、こんな話がサッカーの指導環境に大きく関係している。日本では子供が生まれた瞬間から、親が躍起になって成長を促そうとする。そしてそれはサッカーの現場でも同じだ。
「イタリアでは、どこの親も子供の成長をおおらかに見守ります。別に早く立って歩くことを願わないし、幼稚園から勉強を急がせたりもしません。帰国するとミランのスタッフとも話しますが、子供の指導で大切なのは彼らの可能性を信じて見守ることです。子供が何かをできないのは愚かだからではありません。知らないだけです。信じて見守ってあげれば、最終的には自分で正解に辿り着きます。熱い飲み物があったとして、先に“気をつけなさい”と注意したら、子供は本当の熱さを知らないまま育っていきます。でも自分で触ってみて熱いと思えば、次からは気をつけるようになります」