指導者の“言葉”でプレーは変わる 日独のサッカー現場で感じた「表現のギャップ」
同じ「ディフェンス」でも発信者次第で受け身にも、能動的にもなる
「(日本では)“ディフェンス=守る”という概念が強過ぎて、総体的に受け身の解釈になっています。ドイツと比べても、明らかにボールを奪いに行く習慣がないんですよね。だから相手に『寄せろ!』と伝えたとしても、寄せる基準に意識の乖離があります。ボールを奪える距離まで寄せる、ボールに足が届くところまでだよ、と具体的に示してあげる必要がある。ドイツなら飛び込んで一発でかわされることもあるかもしれないけれど、個々が体を当てて奪い切るという意識が浸透しています」
つまり同じ「ディフェンス」という言葉が、発信する指導者次第で受け身にもなれば、能動的(攻撃的)にもなるわけだ。
上船は神村学園が経営する「エリート人材育成・淡路島学習センター」の統括を任されている。通信教育で高卒資格を取得しながら、サッカーの個の育成とチームとしての活動を行っていく新しい試みだが、監督は外国人に任せることを決めている。ただし現場では、敢えて通訳をつけずに指導をしてもらう構想を固めている。(文中敬称略)
[指導者プロフィール]
上船利徳(うえふね・としのり)
神村学園高校、東京国際大学でプレーし、ドイツ4部のKFCユルディンゲンとプロ契約。怪我で引退するが帰国後「ファーダンサッカースクール」を起ち上げ、明治大学コーチなども経験し、25歳で神村学園がエリート人材の育成を目的として展開する「淡路島学習センター」のセンター長に就任。「キックマスター講座」も好評。
(加部 究 / Kiwamu Kabe)