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指導者の“言葉”でプレーは変わる 日独のサッカー現場で感じた「表現のギャップ」

同じ「ディフェンス」でも発信者次第で受け身にも、能動的にもなる

「(日本では)“ディフェンス=守る”という概念が強過ぎて、総体的に受け身の解釈になっています。ドイツと比べても、明らかにボールを奪いに行く習慣がないんですよね。だから相手に『寄せろ!』と伝えたとしても、寄せる基準に意識の乖離があります。ボールを奪える距離まで寄せる、ボールに足が届くところまでだよ、と具体的に示してあげる必要がある。ドイツなら飛び込んで一発でかわされることもあるかもしれないけれど、個々が体を当てて奪い切るという意識が浸透しています」

 つまり同じ「ディフェンス」という言葉が、発信する指導者次第で受け身にもなれば、能動的(攻撃的)にもなるわけだ。

 上船は神村学園が経営する「エリート人材育成・淡路島学習センター」の統括を任されている。通信教育で高卒資格を取得しながら、サッカーの個の育成とチームとしての活動を行っていく新しい試みだが、監督は外国人に任せることを決めている。ただし現場では、敢えて通訳をつけずに指導をしてもらう構想を固めている。(文中敬称略)

[指導者プロフィール]

 上船利徳(うえふね・としのり)

 神村学園高校、東京国際大学でプレーし、ドイツ4部のKFCユルディンゲンとプロ契約。怪我で引退するが帰国後「ファーダンサッカースクール」を起ち上げ、明治大学コーチなども経験し、25歳で神村学園がエリート人材の育成を目的として展開する「淡路島学習センター」のセンター長に就任。「キックマスター講座」も好評。

(加部 究 / Kiwamu Kabe)

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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