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大坂なおみを変えた指導哲学 なぜ、バイン氏は世界1149位から名コーチになれたのか

バイン氏が何よりも大切にしているのが「オーバーコーチ」しないことだという【写真:Getty Images】
バイン氏が何よりも大切にしているのが「オーバーコーチ」しないことだという【写真:Getty Images】

18歳でコーチに転身「僕には勝負師の本能がなかった」

 バイン氏と言えば、柔らかい口調で大坂を元気づける姿がおなじみとなった。「『あれをやりなさい、これをやりなさい』と強制するより、僕が持つエネルギーで『一緒にやろうよ』と引き上げていく方が楽だし、チームとしてポジティブでいられるから」と話す通り、2人を取り巻く環境は常にポジティブな雰囲気に溢れている。コーチ経験を積む中で「状況を読み、自分が選手にどう接したらいいのか、いい選択ができるセンスを自分は持っている」という自負が備わったという。

「常に優しい言葉をかけているわけではない。時には、もう少し選手の感情を煽らなければならないこともあるし、ジョークが必要なこともある。『大丈夫だよ』という温かい一言が必要なこともある。状況によるけれど、ナオミの場合は大抵、ポジティブな言葉を返すことが必要なだけ。彼女は自分自身に対して、とても厳しいんだ。僕が『どうしてこれができないんだ? あれは?』とまくし立てれば、彼女を追い詰めることにしかならないからね」

 声を荒げたこともあるが「好きじゃなかった(笑)」と明かすバイン氏だが、そもそもどんな経緯でコーチ職を選んだのか。「選手としてツアーを回る上で、その資金が必要だったんだ。かなり若い頃から、18歳からコーチを始めたんだ」と振り返った。

「ツアー下部組織では勝てなかったら一銭にもならない。でも、自分には家賃を払うためにも安定した収入が必要だった。だから、ドイツのエッセンでセミナーや試験を受けて、コーチを始めたんだ。

 僕はプロテニス選手になる運命ではなかったと思う。自分の中には、死に物狂いになって勝つんだ、という勝負師の本能のようなものがなかったんだ。その一方で、コーチした選手がいい成績を残すことが本当にうれしかった。人にはやるべきことが運命づけられていて、僕にとってはそれがコーチだったんだと思う」

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