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“大阪の血”が生む大胆不敵な歴代アタッカー サッカーの地域性を元Jリーグ監督も実感

G大阪ユースで重視する「俺に出せ」の心意気

――関西全般の特徴ですが、特にG大阪の育成ではサイドからゴール方向に崩す、仕掛ける選手が多く出ています。

「ボックスに近づくほど、ウチの選手たちの良さが出ますね。(G大阪のユースは)基本、そういう練習が多いし、そこは意識してやっています。サッカーはまず個人があって、次にグループ、チーム全体があるんですが、とにかく個のところでボールを奪える、はがせる、ゴールを奪える、というのが“大阪の血”なんじゃないかと感じるんです」

――その資質を持った選手と、それを尊ぶ土地柄とが密接にリンクしているんですね。

「ユース監督として、小学生のセレクションとかも出るんですけど、めちゃくちゃ、その素材はいますね。小学校からジュニアユースへのスカウトの段階で、まずは『シンプルに上手い選手』というのがあって。それを、どうやってそのまま伸ばすか。この地域の特徴は、とにかくボールを受けるのを怖がらない。とにかく、『俺のところに出せ!』なんで。

 ただ、最近はそれが少し薄れてきているのもあります。判断、ポジショニング、動き方、技術は重要ですけど、一番は『俺のところに出せ』っていう心意気で、そこを意識したトレーニングを自分はしています。今年入った中1とか、すごく大阪的ですよ!」

――大阪らしさは東京や東北の真面目なチーム、選手たちと対戦すると際立ちますね。

「去年、クラブユースの全国大会で、関東のチームと対戦した時に嬉しかったのは、『ガンバの選手がペナルティーエリア近くに来ると“刺される”気がする』と相手の監督さんに言ってもらったことがあって。やっぱり、関東にはあまりない気質なんでしょうね。U-23の時も、福島の松田(岳夫)監督に、『なんでそんな自由になんの? どんな練習してんの?』って(笑)。自分たちからしたら当たり前でも、違うものなんだなと」

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森下仁志

ガンバ大阪ユース監督 
1972年生まれ、和歌山県出身。現役時代は帝京高、順天堂大を経て95年にガンバ大阪に加入。コンサドーレ札幌、ジュビロ磐田と渡り歩き、J1通算202試合9得点、J2通算37試合1得点の成績を残した。2005年の現役引退後は指導者の道へ進み、12年に磐田監督に就任。京都サンガF.C.、サガン鳥栖、ザスパクサツ群馬の監督を経て、19年に古巣G大阪U-23監督となり、昨年からユースを率いている。中村敬斗(現LASKリンツ)や食野亮太郎(現エストリル・プライア)らの才能を引き出すなど、若手の指導に定評がある。

小宮 良之

1972年生まれ。大学卒業後にスペインのバルセロナに渡り、スポーツライターに。トリノ五輪、ドイツW杯を現地取材後、2006年から日本に拠点を移す。アスリートと心を通わすインタビューに定評があり、『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など多くの著書がある。2018年に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家としてもデビュー。少年少女の熱い生き方を描き、重松清氏の賞賛を受けた。2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を上梓。

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