「日本代表監督は男冥利に尽きる」 理想を捨て“不細工なサッカー”に徹した知将の美学
痛恨の予選敗退を契機に、本格的にプロ化の道へ
しかし3週間開いたことで、中国はしっかりと日本を分析し、対策を立てて東京・国立競技場でのアウェー戦に臨んできた。結果は日本が0-2の敗戦。五輪切符が手のひらからこぼれていった。
だが専守防衛でも五輪出場を逃した痛恨の予選を契機に、ようやく日本サッカーは本格的にプロ化へと動き始める。
「当時は対戦相手国の情報を集めるのも自腹でした。あまりに負担が大きいのでやめた方がいいと忠告してくれた人もいます。でも、やはり日本代表監督は男冥利に尽きるじゃないですか。悩んだ末に、お引き受けすることにしたんです」
どん底を支えた知将が、また一人、この世を去った。(文中敬称略)
※石井義信氏は、4月26日に逝去されました。謹んでご冥福をお祈り致します。
(加部 究 / Kiwamu Kabe)