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「サッカーの故障の80%は防げる」 オランダ人指導者が掲げた“選手目線”の理論とは

レイモンド・フェルハイエンは、サッカーのピリオダイゼーション理論を確立し、この理論はオランダで指導者ライセンスの必須項目となった。

「ほとんどの故障は疲労に起因する」とフェルハイエンは話す【写真:Getty Images】
「ほとんどの故障は疲労に起因する」とフェルハイエンは話す【写真:Getty Images】

名将を数々補佐したフェルハイエンの理論、オランダでの指導者ライセンスの必須項目に

「サッカーにおける故障の80%は防げるものだ」――レイモンド・フェルハイエン

 レイモンド・フェルハイエンは、サッカーのピリオダイゼーション理論を確立し、この理論はオランダで指導者ライセンスの必須項目となった。フェルハイエン自身も、フース・ヒディンク、フランク・ライカールトなど名将の補佐を務め、1998年フランス・ワールドカップ、および2000、04年の欧州選手権ではオランダ代表、02年日韓ワールドカップでは韓国代表、さらには08年欧州選手権ではロシア代表を、いずれもベスト4以上に押し上げる原動力となった。

「試合中にどんなことが起こり、選手たちがどんなことを感じているかを調べていくうちに、私の現役時代と同じことを感じていることが分かった。私が研究を進めて発表したことで、多くの選手たちが共感してくれた。だからオランダでは、この理論が早く浸透していった」

 フェルハイエンは指摘する。

「多くの指導者は、選手たちを自分のビジョンを実現させるためのツールだと考えてしまう。でもヒディンクは、まったく正反対だった。自分でいろんなビジョンを持っていても、それは選手を活かすためのツールに過ぎないと考えていた」

 日本でも「プレーヤーズ・ファースト」というキャッチフレーズは掲げられているが、実際は真逆という現場が少なくない。監督が自己願望実現のために朝から選手たちを追い込み、疲労を溜め込んだチームの結果が出なければ怒鳴り散らす。それでも世間的には名将と呼ばれるケースが多々ある。

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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