学生起業家がうつ病になって気づいたこと 選手に寄り添う育成ツールに込めた願いとは
社名に込めた「あるがままに」の想い
「アルガ」という名称には、育成現場で指導を行う木村氏の子供たちに対する思いが込められている。
「小学生を指導すると、やっぱり個性が全然違うんですよね。その子たちが伸びたい方向があって、それを邪魔しないようにサポートするのが、指導者の役目だと思うんです。そのサポートの裏方にはアルガのサービスがある。アルガを使っている選手たちが自分なりに考えて行動し、自分なりの方向に成長していけるように。つまり、それぞれの子供たちが『あるがまま』であってほしいという想いから、『アルガ』と名付けました」
プロを目指したプレーヤーであったはずの木村氏は、今ではすっかり「育成」にやりがいを見出している。
「今までフェイントができなかった子が、フェイントで何人も抜いていってしまう。そんな瞬間を目の当たりにできたら、本当に感動します。単純に子供が成長していくのを見るのが嬉しいんですよ。子育てに似ているんですかね(笑)」
一方で、育成に携わる人間として、大きな使命も感じている。
「アイデンティティが確立される時期に、自身の強みだったり、どこに喜びを感じられるかとか、そういうことに自覚的になれる子が増えていくことが、これからの時代には必要だと思っています。多様性のある社会の中で、自分が興味のあることを自分で知っている人の方が、幸福を得やすいと思います。それこそ、あるがままに生きられるように、自分で自分を知るというのが当たり前になるように。それを手助けできるようなサービスを作っていきたいです」
そこには、自身に対する戒めも込められているのかもしれない。
「僕自身、自分の幸福が分からないまま、他人の期待や要求に突っ走って、うつになってしまったところもあります。そこを反面教師にしてほしいですし、ああいう苦しみを持たないでほしいなと思います」
(原山 裕平 / Yuhei Harayama)
■電子版スポーツノート「Aruga」(アルガ)
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