学生起業家がうつ病になって気づいたこと 選手に寄り添う育成ツールに込めた願いとは
アルガの根源にある「個人を見る」という発想
アルガとは、具体的にどういったサービスなのか。一言で言えば、「LINE」を介して指導者と選手をつなぐ「選手一人ひとりを育成するマネジメントツール」である。
選手側はチャットボットの質問や提案に応える形で、目標や日々の課題、練習の振り返りや、体調などを入力していく。指導者側は選手が入力したものを一覧で見ることができるため、それぞれの意識や状態を把握することができる。またそれに対してフィードバックを書き込むこともでき、選手側は指導者のアドバイスを適宜受けることができる。
選手が書き込んだものはデータとして残るため、学年が上がって他のコーチに引き継ぐ際にも、指導者側は初めて見る選手の特徴や情報をあらかじめ知ることができる。日常的に使う「LINE」を活用するため、手軽に簡単に、即効性のある振り返りができるのも、アルガの便利なポイントだ。
「最近はコロナ禍なので、ミーティングも頻繁にできなかったりしますが、このアルガがあれば、選手が練習でどんなことを考えているかが分かりますし、コミュニケーションを取りやすい環境が生まれると思います」
アルガの根源にあるのは、指導現場に重要な「個人を見る」という発想だ。
「寄り添いがベースですね。寄り添ってあげたいけど、これまでの手書きのノートではそこまで個人個人を見てあげることができない。でも、アルガではそれが可能になります。それぞれが何を考えて、日々の練習を行っているのか。指導者の目を拡張するためのツールになると思います。選手としても、『あのプレー良かったぞ』と、一言言ってもらえるだけで、だいぶ意識が違ってくるはずです。選手と指導者の隙間を埋めるツールでありたいと考えています」
また子供たちが常日頃から目的意識を持ち、どのように課題を乗り越えていくかを考えることにつながるツールでもある。これは、選手としてだけではなく、将来にも役立つものだと、木村氏は主張する。
「単純に自分で目標を立てて、振り返る力は社会に出てからも生きてくるものです。スポーツで上達したいと思った時に、できなかったところを改善していく。そこは普遍的というか、生きるうえで一段大事な力だと個人的には思っているので。そういったところを学びにできるツールでもありたいです。『スポーツを通じて、生き抜く力を育む』をスローガンに、僕らは頑張っていますから」