高体連の環境に疑問 淡路島で実現した「3年間同じ部活」に縛られない理想の育成
昨年の選手権予選前に訪れた窮地
窮地はそれだけではなかった。「エリート人材育成淡路島学習センター」は、当初神村学園のサポート校として登録し、兵庫県の高体連の大会にも出場してきた。ところが昨年の選手権予選が始まる直前に突然、兵庫県高体連から「サポート校では全国大会への登録はできません。こちらの確認不足でした」との連絡を受けた。さすがに同高体連も不手際の責任を感じ在校生の出場は認めたが、そのままの体制では新入生たちの道が断たれてしまう。
上船は即座に兵庫県内の学校へ片っ端から連絡を入れ、新しい受け入れ先を探った。相生学院も最初は校長に断られたが、それでも「ぜひ理事長に会わせてください」と粘りに粘った。結局翌日には森和明理事長が淡路島の施設を視察に訪れ、上船と顔を合わせるなり「キミの目を見れば、いかに本気なのかは分かる」とプロジェクトの受け入れに合意。早速サッカー部全員が転校手続きを済ませる。
潮目は変わり、ようやくプロジェクトは好転し始めた。(文中敬称略)
(加部 究 / Kiwamu Kabe)