入学数か月で10人退学 異端の通信制高校、選手権出場まで1勝に迫った一期生の3年間
個々が人間的にも成長しチームとして結束
「僕が讃岐でJ3にデビューした時に、チームメイトのみんなが一生懸命応援してくれたんです。今度は僕がアイツらを全国へ連れて行ってあげたい」
実際、福井は選手権予選を通して別格の創造性を見せた。数的不利でスペースが限定された状況でも、瞬時にトップスピードに乗り、それでいてコントロールにブレがなかった。
改めて上船が振り返る。
「彼はプロの力がついたので讃岐に合流させ、想像以上の成長を見せました。それまでも良い選手でしたが、高校レベルでも毎試合起点になっていたわけではなかった。適切なタイミングで効果的な刺激を与えられたからだと思います」
チームで勝つことより個の育成に主眼を置いたプロジェクトだった。だが3年間を経て、個々が人間的にも著しい成長を遂げた集団は、仲間を思いやる一つのチームとして結束していた。(文中敬称略)
(加部 究 / Kiwamu Kabe)