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日本サッカーの真の底上げとは ブラジル帰りの元プロ選手が感じる育成年代の課題

「ブラジルに中学年代までの全国大会なんてありません」

「ユースで全国制覇をしてもプロへの昇格がゼロでは本末転倒です。僕が在籍中のポルトゲーザはユースがブラジルナンバーワンになったんですが、クラブはサブも含めて全員とプロ契約をしましたからね」

 逆に前回紹介した現在ニューウェルス・オールドボーイズ(アルゼンチン)に在籍する鷲野晴貴と同様に、小学生時代にナショナルトレセンに選ばれながら、中学年代はどこのチームにも所属せずにスクールでの練習に集中した子もいたそうである。

「スクールの子を集めてブラジルのチームと試合をした時も、この子が最も高い評価を得ていました。ここでの紅白戦をこなすだけでも十分に上手くなれます。結局ブラジルにも、中学年代までの全国大会なんてありませんからね。逆にスクールでの紅白戦を、そこまでの真剣勝負に持ち込むようにしています」

 利き足の技術を高め、シンプルなタッチやキックに凝縮する。つまりそれこそが、檜垣の描く基本だ。

「ブラジルでも一番多かったトレーニングが2タッチゲームでした。一発で利き足を使えるところにボールを収める。そこが最も重要だということです」

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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