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柔道界で無名から世界一へ 野村忠宏が語る「圧倒的集中力&執念」を引き出す方法

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限界までやった“つもり”になっていた―

「細川先生からは『お、ええ練習したな』と言ってくれると予想していたんですが、その答えは『なんや、お前そんなもんか』でした。正直、『マジかよ』と思いましたね。ただここで私は『ふざけんなよ、もっとやってやる!』と心底思った。もちろん、今の言葉を口に出してしまったら怒られますけどね(笑)。ただ、意地と根性に火をつけてもらったのは事実です」

 大学1年生までは校内予選すら勝ち抜けず、関西大会出場もままならなかったが、細川氏の指導によって急成長を遂げ、大学2年時に全日本学生日本一に輝くと、その後、96年春に全日本選抜柔道体重別選手権で優勝。五輪切符を手にし、そのまま世界の頂点へと駆け上がった。

「当然、アスリートとして本当のギリギリのラインを見極めるのは大前提です。とはいえ当時の自分の中では、限界までやった“つもり”になっていたんですね。わずかしか残っていない心と体のエネルギーを出し切ることこそが、意味のある練習だと痛感しました。細川先生には圧倒的な集中力、執念を引き出す方法を教えてもらいましたね。いくら本人が“強くなりたい”との気持ちで臨んでいても、毎日やる練習に甘さや慣れが出ていく。それをいかに排除していくかが大事ですよね」

 日々の練習から自分自身を常に全力で追い込んでいくことは容易ではない。それでもやり切った先には成長が待っている――。野村さんの経験がそれを教えてくれている。

【了】

ジ・アンサー編集部●文 text by The Answer

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