ドイツ人元Jリーグ監督が“部活”に抱いた違和感「練習が休みと言ったら全員喜ぶ」
サッカーを義務と感じたら「先生がいなくなった途端に辞めちゃう」
実際にエンゲルスが、翌日練習がオフだと告げると、生徒たちから一斉に大歓声が沸き上がった。
「プロになれる選手なんて全体の1%。残りの99%の子供たちにとって、一番大切なのはサッカーを楽しむことじゃないか。僕はみんなに、サッカーを生涯の遊びにして欲しかった。そうすれば彼らの子供たちもサッカーを楽しむ。そういう種を蒔いていかなければ、サッカーは広まっていかない。サッカーを義務だと感じていたんじゃ、先生がいなくなった途端に辞めちゃうよ」
さらにエンゲルスは熱弁を続けた。
「トレーニングをして試合に勝つのも結果だけど、サッカーを好きになってもらうのも大切な結果だよ。僕は80人の部員全員を、しっかりと見たかった。プロになれる可能性のある子と同じように他の子も助けたかった」
結果的にサッカーを楽しんだ滝川二高からはその後、波戸康広(元横浜F・マリノスほか)や加地亮(元ガンバ大阪ほか)、岡崎慎司(レスター)、金崎夢生(鹿島アントラーズ)ら次々にプロの選手も育っていった。
(加部 究 / Kiwamu Kabe)