「3チャ運動」のスローガンで変えた意識 陸上界の73歳名将が辿り着いた7年目の都大路
チャレンジ、チャンス、チェンジ…選手の意識を変えた「3チャ運動」
駅伝では毎回、埼玉栄の後塵を拝してきたが、今季はシーズン当初から手応えを感じていた。大森総監督は「埼玉栄とは4月の段階で1、2歩の差だったので追い付ける自信はあった。8月は半月以上も菅平で練習した。日帰りでですよ。それと今季のスローガン『3チャ運動』も大きかった」と説明する。
チャレンジ、チャンス、チェンジの英語表記の最初の3つを取って「3Cha」。もっと果敢に挑戦しよう、なぜ好機をものにできなかったか、今日の練習に変化はあったか――といった3項目に取り組んだ。
2位の埼玉栄に7秒差の大接戦、1時間10分54秒で全国高校駅伝県予選を初制覇した。1区の中根瑞稀は、3000メートルの持ちタイムで埼玉栄のエース高野みなみと20秒もの差があったが、4秒差でたすきをつないで流れをつくった。3~5区で区間賞の力走。4区で首位に立つと、2秒リードで受け継いだアンカー上村栄奈も区間賞の走りで歓喜のゴールを切った。
中学まで中根はソフトボールで、上村はバレーボールだったが、名伯楽の指導で才能が開花。大森総監督は埼玉栄時代から、データ重視の独自の指導法に定評があった。「数か月後にタイムを伸ばす方法を考え、練習を全てデータ化し、選手に沿ったプログラムを作成した」と言う。
主将の金森遥は「大森先生と浅賀先生がいるので昌平を選んだ。タイムだけを追求するチームが多い中、大森先生は基本動作を細かく指導してくれ、生活面で教えていただけることも多い」とハキハキ答えた。
初の晴れ舞台は24日、都大路で号砲だ。予選タイムは出場校中19番目だが、浅賀監督は「まずは15位以内を目指したい」と目標を設定し、大森総監督も「1区の出来がカギを握る」と展望した。
(河野 正 / Tadashi Kawano)