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選手の“心”に寄り添える指導者とは 為末大「落ち込んだ時こそ手腕が一番試される」

指導者がオリジナルの指導論を編み出す必要はない【写真:堀浩一郎】
指導者がオリジナルの指導論を編み出す必要はない【写真:堀浩一郎】

すでにある理論もうまく利用する

 選手に影響を与えられる指導者になるためのひとつの方法は、自分の中にある、「権威」のイメージを変えることです。一般的な「大きくて揺るがない」ものではなく、柔軟で、変化してもいいものだと捉えるようにする。「権威」というよりは「尊敬」にイメージをずらしていく、というと分かりやすいでしょうか。自分の中の定義を変えるだけで選手との関係性は変わると思います。

 そして、影響を与えるために指導者がオリジナルの指導論を編み出す必要はないと思います。世の中には科学的に証明されている理論がすでにたくさんありますから、そういったものをうまく利用すればいいと思います。自分が発見したというのは気持ちがよいものですが、心理学はもちろん、指導方法も既存のものからヒントを得て柔軟に取り入れていく。それがいい指導者になるための第一歩につながると思います。

(記事提供TORCH、終わり)
https://torch-sports.jp/

■為末 大 / 為末大学学長

 1978年生まれ、広島県出身。スプリント種目の世界大会で日本人として初のメダル獲得者。男子400メートルハードルの日本記録保持者。現在は人間理解のためのプラットフォーム為末大学(Tamesue Academy)の学長、アジアのアスリートを育成・支援する一般社団法人アスリートソサエティの代表理事を務める。新豊洲Brilliaランニングスタジアム館長。主な著作に『Winning Alone』『走る哲学』『諦める力』など。

(スパイラルワークス・松葉 紀子 / Noriko Matsuba)

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