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“サッカーだけ上手い”からの脱却 欧州で進む「フィジカル・リテラシー」の重要性

塚本修太さんは「ゴールデンエイジ前から、いろんな体の動かし方を体験することが大切」と考えている【写真:編集部】
塚本修太さんは「ゴールデンエイジ前から、いろんな体の動かし方を体験することが大切」と考えている【写真:編集部】

日本の育成年代で整っていない、複数のスポーツを楽しめる環境

 だが日本では、まだまだ複数のスポーツを楽しめる環境が整っていない。夏休みになると、どの競技も連日長時間のトレーニングを課すので、他競技に取り組む時間が確保し難いし、また他競技を楽しむことを「裏切り」のように白眼視する傾向さえ残っている。そのせいか20世紀までは、野球やサッカーのエリートが泳げないという例が少なくなかった。

「英国ではテクニックと同じくらい、フィジカル・リテラシーを大切にしています。逆にフィジカル・リテラシーが高くないと、新しいスキルを学ぶ際に受け皿が小さくて入りきらなくなる。だからこそゴールデンエイジ(9~12歳頃の運動能力が急速に発達する期間)前から、いろんな体の動かし方を体験しておくことが大切なんです」

 サッカーだけが上手い選手ではなく、サッカーも上手いアスリートの育成は、今後日本の大きな課題になるのかもしれない。

(第5回へ続く)

[プロフィール]
塚本修太(つかもと・しゅうた)

1997年6月21日生まれ、茨城県出身。幼少期からサッカーを始め、小、中学校は地元のチームに所属したが高校は名門・前橋育英高校サッカー部に進学。度重なる怪我で高校2年の夏に中退したのち、サッカー指導者を目指すためにイギリスのソレント大学のフットボール学に進学。サッカーを学問として勉強するなか、FAの心理学ライセンスはレベル5まであるなかで日本人で初めてレベル4まで取得。その他にもスカウト、分析、フィジカル、コーチングの資格を取得。コーチをしていた育成年代のチームは2年連続その地域での年間優秀チームに。昨年は小林祐希(ワースラント=ベフェレン)の個人分析官を担当した。

(加部 究 / Kiwamu Kabe)

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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