女子選手の指導に悩む男性コーチ問題 名将・佐々木則夫は「カッコつけない」を貫いた
サッカー女子日本代表を率い、11年女子ワールドカップ(W杯)を制した佐々木則夫氏が「THE ANSWER」のインタビューに応じ、男性指導者の女子選手の指導について持論を語った。部活など多くの男性指導者が難しさを感じ、悩みを抱えている問題。なでしこジャパンを世界一に導いた名将は、いかに女子選手をまとめ、成功を掴んだのか。自身の体験談を明かした。
部活などで多くの指導者が悩む問題、佐々木氏はいかに女子選手と向き合ったのか
サッカー女子日本代表を率い、11年女子ワールドカップ(W杯)を制した佐々木則夫氏が「THE ANSWER」のインタビューに応じ、男性指導者の女子選手の指導について持論を語った。部活など多くの男性指導者が難しさを感じ、悩みを抱えている問題。なでしこジャパンを世界一に導いた名将は、いかに女子選手をまとめ、成功を掴んだのか。自身の体験談を明かした。
【注目】「大人の私も受けたい」とネット話題 誰でも観られる「オンラインエール授業」はこちらから(過去のアーカイブ動画も視聴可能)
◇ ◇ ◇
男性指導者は女子選手とどう向き合うべきか。
日本スポーツ界において、「サッカーW杯優勝」という女子選手を率いた監督として最も大きな功績を挙げた佐々木氏。講演会ではたびたび、男性指導者から「女子選手をどう指導したらいいか」という悩みが寄せられるが、名将の持論は「気にしすぎない」というシンプルな考えにある。その真意とは――。
優しい語り口で、佐々木氏は言う。
「『女性だから』といって考えすぎると、ストレートに感じたことを行動に移し、対応できなくなることがある。借りてきた猫みたいに指導していたら、おかしいでしょう? もし、指導者の経験があるのであれば、指導者としてのノウハウはもうそれなりにあるわけだから、相手が『男性だから』『女性だから』で変えること自体が不自然になる」
男性、女性という性別で構える前に、同じ人間。コミュニケーションを取るという点に変わりはない。だから「あまりに気にしないで、まずは自分なりに指導をスタートさせてあげる」というのが、考えのベースだ。
もちろん、気を付けなければいけないことはある。その一つが「伝え方」だ。つい感情が高ぶり、男子選手と同じ感覚でキツイ言葉で叱咤してしまう。佐々木自身も、失敗の経験があった。
「癖になっていて、女子に言ってしまうと、言われた選手よりも周りで聞いていた子の方にすごくムッとされる印象がある。本人よりも周りに影響する感じ。そんな空気は男子の指導現場にない感覚だった。その中で『これは大丈夫だけど、これはダメなんだ』と、その時その時の失敗から成長していけたことが、私にとっては良かった。
ただ、いまだに現場を見ていると、無理なフィジカル的な要求をしていることもある。男性指導者が常識的じゃないパワーを要求したり、『なんで走れないんだ』と怒鳴っていたり。男子と女子のフィジカルの差は現実的に仕方ない部分。そのあたりを冷静に理解した上で指導にあたる必要があると思う」
誰もが、最初は初めての経験。もちろん、上手くいくことばかりではない。大切なことは、失敗することがあっても、指導者として、どう学び、どう成長していくか。それは、引退後に大宮アルディージャ監督など、男子選手の指導者としてキャリアを歩んでいた佐々木氏も実感している。
では、なでしこジャパンで世界一を達成した名将は、どんな過程で女子選手の指導で成功を掴んだのか。