日章学園、3回戦敗退も光った“素人監督”の柔道流采配「コート内だけが戦いじゃない」
全国高校総体(インターハイ)のバドミントンは1日、熊本・八代市東陽スポーツセンターなどで開幕し、男子団体戦に臨んだ日章学園(宮崎)は、3回戦で札幌龍谷(南北海道)に1-3で敗れて姿を消した。悲願の初優勝への挑戦は終わったが、バドミントン経験のない武末昌也監督率いる昨年3位チームは実践学園(東東京)に3-1で初戦の2回戦で快勝。独自のスタイルで爪痕を残した。
柔道出身・武末昌也監督、13年目の挑戦は3回戦敗退
全国高校総体(インターハイ)のバドミントンは1日、熊本・八代市東陽スポーツセンターなどで開幕し、男子団体戦に臨んだ日章学園(宮崎)は、3回戦で札幌龍谷(南北海道)に1-3で敗れて姿を消した。悲願の初優勝への挑戦は終わったが、バドミントン経験のない武末昌也監督率いる昨年3位チームは実践学園(東東京)に3-1で初戦の2回戦で快勝。独自のスタイルで爪痕を残した。
最初のダブルスでは、小川航汰(3年)と樋口稜馬(3年)のペアが春の全国選抜準Vの実力を発揮。第1ゲームの序盤は一進一退の攻防が続いたが、9-9から10連続得点で突き放した。2回目のインターハイとなった小川は「いつもより緊張しなかった」と頼もしい。2-0のストレート勝ちを収めると、池田大将(3年)と實藤圭亮(3年)のペアも勝利で続いた。
順調に白星を積み重ねたが、大舞台の初戦でチームはぎこちない。主将の池田が「ほとんどが初めてのインターハイ。雰囲気にも飲まれつつあって、2階席の保護者から見ても緊張していたのがわかったと思う」と苦笑いするほどだった。それでも、後ろを振り返ればどっしりと座った監督がいる。日体大時代まで柔道で腕を鳴らした指揮官の堂々たる姿に、池田は「武末先生はいつも通りだった。さすがです」と、チームに落ち着きをもたらした。
第3試合のシングルスでは、日高堅斗(2年)が苦戦。リードされた場面で武末監督が動いた。「最初のシングルスは負けてもいいよ。でも、姿勢が次の選手に繋がる。負けても歯を食いしばって、しつこく頑張る姿が大事」。インターバル中に声をかけて鼓舞。後ろにつなぐ意識を持たせた。
まさしく柔道の団体戦のようなメンタル。「コートの中だけが戦いじゃないですから。後ろは『次は俺が取り返してやる』という気持ちになってくれる。(柔道と)同じだと言えますね」と意図を説いた。日高は敗れたものの、第4試合の小川が躍動。前後に揺さぶりながら得点を重ね、指揮官の“采配”通りの奮闘で初戦突破をもぎ取った。
武末監督は日体大卒業後に鹿児島、熊本の高校で教員を務めた。生まれ故郷の宮崎で指導を希望し、日章学園の教員の話が舞い込んだ。2007年、同校に赴任。前任者の異動で空いた椅子を託され、生徒とともにシャトルを追う日々が始まった。