偏差値72の名門・前橋からインハイ出場 文武両道でも「どっちつかず」と苦悩した石関弘晃を救った言葉
救われたのは「お前は柔道に捧げていい」の言葉
「自分はどっちつかずというか、全部注ぎ込んで柔道をやっている人に比べてやっているわけでもない。かといって勉強しているかというと……その苦悩は大きかった気がします」
悩める石関を助けたのは高校の指導者の言葉。小、中と柔道に注いだ情熱を知っていた。「お前は柔道に捧げていい。勉強は後からでもいいから」。短い学生生活で今、何が重要か。明確に指し示してくれたことがありがたかった。
「やっぱり、柔道が好き。全力を出し切りたい」
確信した石関に、柔道の素晴らしさについて尋ねた。
「自分と見つめあえるのが一番大きい。勉強もそうですけど、問題があって、相手がいて、自分がダメだったらチームのせいにできない。何がダメだったか考えると、結論は合理的だなと思うことが多くて。
強さにも理由があって、技術の一つ一つが面白かったり、寝技とかの空間認識、自分の頭で想像したものを実際に行動に移せるのが面白い。難しいけれど、できたときは楽しいですね。あとは格闘技なので、一つに懸ける気持ちが強いと思います」
振り返ると、柔道と勉強がリンクしている部分も大いにあると実感している。
「部の人数が少ないので、組み合えるだけでもありがたいし、出稽古に行けば一つ一つが大事な経験値。そういう少ない時間で少ない機会を大事にする、勉強でも自分が取り組んだことに対して『絶対覚えるんだ』と少ない時間でもものにする。何かを得て終わる。時間を無駄にしないように」
自分を成長させてくれた高校柔道はこれで一段落。大学に進んでも、選手としてプレーしたい気持ちはある。それともう一つ。「自分みたいに公立高校で部員が少ない学校は、県内でも他にあります。そういうところの助け、支えになれたらいいなと思います」。
(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)