将来の夢は「助産師」 砲丸投げ全国2位、川口由眞と涙の14m4 冬は国公立大を受験へ
努力の尊さを教えてくれた最後の夏「私にとっては順位どうこうではない」
重圧と闘い続けた2年半だった。
1年秋、全国高校陸上で14メートル37を出して優勝。一気に注目を浴びた。しかし、その注目は重圧に変わり、眩いスポットライトは心に影を作った。度重なる怪我もあり、記録は伸びないどころか、14メートルにも届かず。どん底にいた。
「正直、直前の練習も全然良くなくて……」。それでも、期待は高まった。
まして徳島開催のインターハイ。取り上げられた地元のテレビ局には「優勝を目指す」と言っていたが、本当は違った。「まずは入賞。その後は順位を少しでも上げられればいい」。それほど、自信が持てない状態だった。
苦しい時も二人三脚だった顧問の豊永陽子教諭も「1年生以降は手首に手の甲、脚に腰に……怪我ばかりで、しんどかったと思う」と涙した。
「諦めない気持ちが今日につながった」。特進クラスに在籍し、学業優秀。将来の夢は助産師で、今後は国公立大の医学部看護学科の合格を目指す。「マジメでとことん努力する。(受験も)大丈夫と思わせるような子」と顧問も認めている。
「私にとっては順位がどうこうではなくて、努力してきて良かったって思います」と川口。
努力の尊さを教えてくれた最後の夏。そう言える経験は、これからどんな人生にも生きてくる。
(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)