「豪華客船の船長になる」 1か月も船上にいた石原太洋、先に叶えたインハイ出場の夢
柔道はこれで一区切り「学んだのは、キツさですかね(笑)」
高校の寮に入る前、世話になった両親には「インターハイに連れて行く」と約束。勝って全国の切符を掴んだ瞬間、客席にいた両親の顔を見て涙があふれた。
「他校より練習できない以上、どうにか負けない自信をつけるしかない状況。部活の練習だけじゃ足りないと思って、ベンチプレスなど学校の器具を使って鍛えたのが大きかったです」。45分間の朝練、部活後のトレーニングで自主的に筋力を上げたことで道が開けた。
柔道個人戦の出場は、鹿児島水産の選手としては10年ぶり。男子66キロ級初戦では水戸啓明(茨城)の清水福虎(3年)と戦い、合わせ技一本で敗れた。「力の差を凄く感じて悔しかった。組んだ時、シンプルにパワーが違うと思った。もう少し試合をしたかったです」。夢の舞台はあっという間に終わった。それでも石原はやり切った表情を浮かべていた。
柔道はこれで一区切り。高校卒業後は、静岡にある国立清水海上技術短期大に進学し、免許取得のため学業に励む。「柔道から学んだのは、キツさですかね(笑)。キツいけど、楽しい。勝った時の喜び、試合前の緊張とかも成長に繋がった。これからは親に恩返しできたら。柔道でもお世話になったので、今度は自分が親を支えたい」。畳の上で学んだことは、海に出るまでの過程でも活きると信じている。
(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)