残り5秒で劇的な逆転3ポイント 福岡第一エース、優勝が懸かるプレーを後輩に託した理由
残り5秒で天国と地獄がひっくり返った。全国高校総体(インターハイ)バスケットボールは1日に高松市総合体育館で男女の決勝戦を行い、男子は福岡第一(福岡)が77-76で開志国際(新潟)を破り、3年ぶり4回目の優勝を飾った。
全国高校総体バスケットボール男子、福岡第一が劇的勝利で3年ぶり4回目の日本一
残り5秒で天国と地獄がひっくり返った。全国高校総体(インターハイ)バスケットボールは1日に高松市総合体育館で男女の決勝戦を行い、男子は福岡第一(福岡)が77-76で開志国際(新潟)を破り、3年ぶり4回目の優勝を飾った。
勝敗がひっくり返ったのは、残り20秒を切ってからだった。2点リードでマイボールのリスタートとなった開志国際の逃げ切りが濃厚と思われたが、福岡第一は伝統のハイプレスで状況を一変させた。コートにボールが入った瞬間、ダブルチームでプレッシャーをかける。ボールを持ったのは、この試合で強心臓ぶりを存分に見せつけていた開志国際のガード平良宗龍(1年)。しかし「ダブルチームに来られて、気持ち的に焦ってしまって、自分の不甲斐なさが出た」とこの場面を振り返った。
福岡第一のオールコートプレスは、チームの代名詞。3分で10点負けている状況などを想定した練習で鍛えているという。この試合でも仕掛けていたが、開志国際は技術とスピードのあるガード陣を、留学生のビッグマンが近い距離で助けて、このプレスを回避し続けていた。しかし、終盤はサイズのある2人が5ファウルで交代。平良のヘルプが手薄になっていた。
このわずかなチャンスに飛び込んだのが、福岡第一の主将を務める城戸賢心(3年)だった。「相手のガード陣は下級生。そこには絶対に負けるなと(井手口)先生に言われていた。最後までプレッシャーをかけ続けていた結果。やっと当たったと思った」と話した城戸は、焦った平良のパスを右手でカット。福岡第一はルーズボールを崎濱秀斗(2年)が拾い、ポイントガードでエースの轟琉維(3年)にボールを預けて右サイドに開いた。
試合終盤、福岡第一の攻撃は轟のシュート力頼みだった。間違いなく、轟が自分で勝負を仕掛けてくる。誰もがそう思った。ドリブルでシュートコースを作りに行く轟に、開志国際がダブルチームに行った瞬間、轟は右ウイングの位置でマークがいなくなった崎濱にパス。ノーマークとなった崎濱が放った3ポイントシュートが決まり、福岡第一が逆転。崎濱は大きく喜ぶことなく轟の元に寄り、力強いタッチをかわした。残りわずか5秒。タイムアウトの後、開志国際の攻撃を防いでタイムアップを迎えるという、劇的な勝利だった。
「最後は轟の判断。(崎濱も)よく決めましたね。誰かがドライブで切って決めるだろうという感じだった。僕にも予想外の3ポイントでした。だから相手は全然、予測していなかったと思います」と、井手口孝ヘッドコーチも驚いた勝負の選択だった。