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「強豪校の部活で才能を伸ばす方法」 清水商・川口能活×鹿児島実・那須大亮の考え

「行動」で2人に共通していた習慣「居残り練習にパートナー」

 那須氏自身、中学時代は県選抜に入った経験はなく、目立った実績があったわけではない。レギュラー争いに勝ち、主力に成長できたのは、川口氏と同じように自分の武器を見つけ、「長所を伸ばす」を徹底したことだった。

「周りは有名な選手に囲まれて、どうやって試合に出られるようになるか、ずっと考えていた。それが、自分にとっては長所を伸ばし、武器を磨くことだった」

 レベル差に直面し、無力感に苛まれ、安易に自分を否定するのではなく、冷静に自分のストロングポイントを探し、戦える武器を見つけ出すこと。2人の言葉は、強豪校で過ごす意識の持ち方として、大きなヒントになる。

 加えて「意識」と同じか、それ以上に大切なのは「行動」だ。具体的に日々の練習では、どう差をつけていたのか。

 ともに練習は週6日で朝練があり、授業後に全体練習。強豪校なら、居残り練習も当たり前のようにする。長く練習をするという“量”だけで、差はつけられない。共通していた習慣は「居残り練習にパートナーを持つ」だった。

 川口氏にとっては、1学年下にいた石野智顕(現・仙台GKコーチ)だ。

「全体練習後、石野と2人でよく練習していた。今でこそ映像を見て学ぶことは当たり前だけど、当時からトップ選手のセーブ、ヒスティングの技術、ディフレクションの対応を映像で覚えておいて、『こういうの、一緒にやってみようよ』と声をかけて。『考えてやれ』は指導者として今、言っていることだけど、自然と与えられた練習メニューにはないアイデアを出してやっていた」

 石野の代もインターハイと全日本ユースの2冠を達成し、その努力は2人にとって財産になったという。「あの時代、2人でトレーニングしたことは、その後のキャリアに生きたかな」と川口氏は振り返る。

 那須氏は1学年下の上本大海(元大分)を居残り練習で誘った。

 1対1にロングキック、ヘディングなど「センターバックとして強みを伸ばすトレーニングをひたすらやっていた」と回顧。その時、心の真ん中に置いていたのは「負けることを恐れないこと」だ。

「DFはミスすること、負けることがよくある。1対1の練習も大海が相手なら、DFの選手なのでドリブルがそこまで上手くない。ドリブルが上手いFWを捕まえて相手をしてもらい、勝てなくても受け入れて立ち向かっていた。負けるイメージをつけたくない人もいたけど、上手い人と勝負することから逃げない。『これは当たり前のこと』『上手くなるためだから』と言い聞かせて」

 チームメートは、レギュラーを争うライバルと見れば強敵だが、自分の能力を伸ばしてくれるパートナーと考えれば、強豪校がこんなに優れていることはない。

 2人は図らずも、この点で習慣が共通。練習の“質”を上げて、レギュラーを掴み、のちにプロで活躍する土台を作った。

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