ラグビー界に勝者なき全国大会のなぜ 15人揃わぬ部活の現実…花園王者から合同チームまで、勝敗を超えた3日間
全国の強豪高と東北地域のチームが参加した「東北復興高校ラグビー交流会」が4月1日から3日間、岩手・釜石で行われた。東北の高校ラグビー部の応援と地域復興を目的として4年目を迎えた今季は、合同を含む16チーム、516人の選手が早春のみちのくに集った。東北勢には全国区の強豪のレベルを体感させ、東北以外の高校生には、未だに残る東日本大震災の爪痕と、そこでラグビーに打ち込む仲間たちと触れ合う学びを得た3日間。発起人でもある常翔学園高・野上友一校長、受け入れ側の高橋善幸福実行委員長ら交流会を支えてきた関係者たち、参加校の監督、選手らに、この異色の“勝者なき全国大会”への思いを聞いた。(取材・文=吉田 宏)

全国強豪が春の釜石に集結…「東北復興高校ラグビー交流会」密着ロングレポート
全国の強豪高と東北地域のチームが参加した「東北復興高校ラグビー交流会」が4月1日から3日間、岩手・釜石で行われた。東北の高校ラグビー部の応援と地域復興を目的として4年目を迎えた今季は、合同を含む16チーム、516人の選手が早春のみちのくに集った。東北勢には全国区の強豪のレベルを体感させ、東北以外の高校生には、未だに残る東日本大震災の爪痕と、そこでラグビーに打ち込む仲間たちと触れ合う学びを得た3日間。発起人でもある常翔学園高・野上友一校長、受け入れ側の高橋善幸福実行委員長ら交流会を支えてきた関係者たち、参加校の監督、選手らに、この異色の“勝者なき全国大会”への思いを聞いた。(取材・文=吉田 宏)
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全国各地から桜の開花宣言が聞こえてくる4月最初の3日間。まだ春遠い釜石には、高校ラガーの熱い歓声が響いた。往年の新日鉄釜石ラグビー部(現日本製鉄釜石シーウェイブス=釜石SW)が国内最強を謳歌した地を舞台とする復興交流会。開催を実現して運営にも力を注ぐ常翔学園・野上校長が開催までの経緯をこう説明する。
「2019年のワールドカップ(W杯)が日本開催になって、全国で盛り上がったじゃないですか。そこで仲間と、鵜住居(うのすまい)のスタジアムを使って東北の復興に何か役に立たれへんかという話になったんです。あの(W杯の)勢いは良かったやんとね。そこで、東福岡の藤田先生、桐蔭学園の藤原先生、國學院栃木の吉岡先生たちに連絡したんです。そしたら『やりましょう』と言ってくれた。じゃあ、そこに東北の高校生も呼んだらきっと喜ぶわということになったんです」
大阪の強豪・常翔学園を前身の大工大高時代から監督、GMとして牽引して、話を聞いた4月1日付で同校の中高校長になった名将が穏やかに笑った。新型コロナウィルスのパンデミックで、当初予定していたW杯直後の開催は断念したが、東北を盛り上げ、子供たちを応援したいという思いは忘れなかった。感染リスクが無くなった23年に第1回交流会を開催。選抜大会直後の4月1日から3日間という日程は、新年度の準備を踏まえると動かしようがない。手探りと試行錯誤の中でのスタートだったが、4年目の開催で、参加してないチームの監督からも問い合わせがくるほど関心度も高まってきた。
今季は16チームが集まり、釜石鵜住居復興スタジアムを中心に市内3会場で行われた。20分1試合、入替自由という変則ルールは、選手たちがより多くのチームと“交流”出来ることを優先したため。3日間で50を超えるゲームが繰り広げられた。野上校長らが各チームに、出来る限り正規のジャージーを着てほしいと伝えているのは、花園に出場出来ないような東北の選手たちにも、強豪校と試合が出来たことを実感してほしいからだ。1日目の夜には、市内にある市民会館に全選手が集まったファンクション、2日目には東日本大震災経験者による「語り部」イベント、参加各チームから選出されたメンバーによるドリームマッチも行われた。
出場校は、野上校長を中心に第1回大会から参加するチームを中心に打診して、東北勢については、新日鉄釜石で中心選手、監督として活躍して現在も釜石SWシニアアドバイザーに就く高橋善幸・副実行委員長らが、各県の関係者、チームに声をかけている。野上校長と高橋氏が推進役を担う交流会だが、実現には神戸製鋼でNo8として活躍した大西一平氏も尽力した。野上校長とは大工大高(現常翔学園)、高橋氏とは明治大という母校繋がりの3人が開催のキーマンとなった。ちなみに、今季の参加チームは下記の通りだ。
(東北勢)
青森選抜、秋田工、盛岡工、黒沢尻工・釜石・釜石商工合同、黒沢尻北、南昌みらい・岩手・盛岡三合同、仙台育英、松韻福島
(東北圏外)
遠軽、國學院栃木、桐蔭学園、名古屋、常翔学園、天理、尾道、東福岡
東北圏外からの顔ぶれをみれば、交流会開幕前日の3月31日に終わったばかりの全国選抜大会(埼玉・熊谷)を制した東福岡、1月に花園(全国高校ラグビー)3連覇を達成した神奈川・桐蔭学園と、全国のトップチームが並ぶ。本来なら全国区の公式戦での優勝をターゲットにする強豪ばかりだが、移動のための遠征費、宿泊費などはチーム負担で釜石に集まった。それでも國學院栃木の吉岡肇監督は、この交流会参加の意義、価値は大きいという。
「学校側も、公式大会でもないのに遠征を認めてくれています。それは復興への支援という意義があるからです。私たちも今日(1日)は青森選抜と試合が出来たが、全国大会に出ているチームが東北のチームに胸を貸すというと高飛車だが、東北を活気づけたいという野上先生の思いに賛同したんです」
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