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1万m27分台、箱根駅伝で各校が意識する“逸材3年生” 誓う5強崩し「他校のエースを倒したい」――帝京大・楠岡由浩

他校のエースで意識している選手「同学年ですが、本当に尊敬しています」

――他校のエースで特に意識している選手はいますか。

「国学院の野中(恒亨)選手(3年)は、同学年ですが、本当に尊敬していますし、すごい選手だなと思っています。八王子ディスタンスも見ていましたが、強いですね。もし、来年の箱根で同じ区間を走ることになったら絶対に負けたくないです」

――箱根ではともにエース区間に配置される可能性が高いですね。

「自分は、そのつもりでいますし、そうなった場合、野中選手だけではなく、同じ区間を走る選手には負けたくないです」

 楠岡の10000mのタイムは、27分52秒だ。昨年、2区区間新(65分44秒)を出した黒田朝日の10000mの当時の持ちタイムは27分49秒で、楠岡より3秒速い。もし2区を走った場合、持ちタイムから推測すると65分台が見えてくる。

――もし、2区を走るとすると設定タイムをどのくらいに置いていますか。

「前回、山中(博生)さんが出した66分22秒の帝京大記録を更新することがひとつ目標になります。ただ、レース展開によっては66分10秒台、一桁を狙って行けたらと思っているので、まずはそれを狙えるぐらいの準備をしっかりしていきたいです。2区は、今回も留学生、日本人選手を含めてすごい選手が集まるので、そこで区間賞を獲るぐらいの気持ちで行かないと戦えないので、自分が区間賞を獲るぐらいの意識で臨みたいです」

――チームは、5強崩し(駒澤大、国学院大、青学大、中央大、早稲田大)を目標にしていますが、それを達成するために何が重要だと思いますか。

「全区間ミスがないのが重要ですが、あえて挙げるとすれば山だと思います。5区は、本当に差が開く区間なので、そこをどう乗り越えていくか。あとは1区も今年は重要かなと。出遅れてしまうと駅伝が終わってしまうので、1区がどのくらいの順位で来るのか。それによって2区の走り方やレースプランが変わってくるので、流れを考えるという点においては1区も大事ですね」

――エースというのは、どういう存在だと思いますか。

「大学でいうと、青学大の黒田(朝日)さん(4年)のような選手だと思います。昨年の箱根2区もそうですし、今年の全日本の7区も区間新の走りで5位から2位に順位を上げました。どんな状況でも自分の走りをしてチームに貢献するのがエースだと思いますし、その走りでチームを助けることができる、勢いをつけることができる、ゲームチェンジャー的な役割を果たせる選手がエースだと思います。自分も昨シーズンが終わってからそういう存在になることを意識して、今シーズン、練習や試合で走ってきました。来年の箱根駅伝では、これからのエースは自分だと言われるような走りをして、結果でその座を掴み獲りたいと思います」

(佐藤 俊 / Shun Sato)

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佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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